総得点 (15点満点) : 15 点
内訳
文章 (1-5) : 5 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点
まさに、芸術作品。
プリズンホテルを全巻読み終えた後の私の感想である。普通、芸術作品というと絵画や彫刻といった美術関係の作品のことを指す。しかし、ここでいう芸術作品とは、そういった美術関係に限らず、人々の心に深く突き刺さり、人々の価値観をも変えてしまう作品のことをいう。そして、そういった芸術作品には当然、小説も含まれる。
たしかに、世の中にはみんながいい小説と思うものも多くある。しかし、作家の浅田次郎先生に言わせれば、そんなのはただそれだけの小説である。そして、そういった小説と、芸術作品とは全く異なる。本文中には次のように書かれていた。
「みんながいい小説だと思うだろう。だが、それだけのものさ。一晩たてば忘れちまう。読者の人生観も世界観も、何も変えない」(p.266)真の芸術作品というのは、読者を感動させるだけでなく、その人の人生観や世界観をも変える。以前に
"ゴールは偶然の産物ではない"の書評で紹介したように、リーガ・エスパニョーラ (スペインリーグ)に所属するFCバルセロナが魅せるスペクタクルなサッカー、ベートーベンが作曲した交響曲第4番の通称"運命"、盲目のピアニスト辻井伸行氏が奏でるラフマリノフ、印象派画家アルフレッド・シスレーが描く風景画など、どの作品も、私の好みではあるものの、人々の心を動かし、価値観を変えるだけの力がある。そして「プリズンホテル」にも、これら芸術作品と同じ印象を私は受けた。
ただし、プリズンホテルが芸術作品と呼べるのは、全4巻を通しての話しである。たしかにプリズンホテルは1巻ごとに飽きない工夫が施されて、個別に読んでも十分楽しめたりはする。それでも全体を振り返ってみてみると、起承転結ならぬ、 起
"笑"転結として構成されており、最後の第4巻にてしっかりとすべてを締めることで芸術作品としての完成度を高めている。
もしあなたがまだプリズンホテルを読んでいないなら、こんなくだらん書評を読んでないで、今すぐプリズンホテルを大人買いして、自分の人生と向き合う方がよっぽど有意義な時間が過ごせると思う。以下にアマゾンリンクを貼ってみたので、自分の人生に正面から向き合いたい人は是非、読んでみてほしい。








そしてプリズンホテルを読み終えた方は、よかったら続きをどうぞ。
続きを読む(ネタバレ注意)
posted by lhflux at 21:10|
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