2012年08月01日

アメリカで投資生活、はじめの一歩:A Beginner's Guide to Investing: How to Grow Your Money the Smart and Easy Way (Ivy Bytes)


Growing Free Money on Flowers / epSos.de


ハワイへと移住してきて数ヶ月が過ぎた。生活環境も整ってきて、気持ちもだいぶ落ち着いてきたので、日本のときのように、ハワイでも株式投資をしようと思い始める。しかし、アメリカで株主となるまでの道のりは私にとって遠く険しい。

まずはじめに遭遇する障害が、英語の壁である。辞書があるとはいえ、とある株式会社の財務諸表をみると、分からない単語がずらりと並び、さすがに滅入ってしまう。さらに表記方法が日本と微妙に違っているところもイヤらしい。みたい情報がどこにかかれているか、すぐには見つけられない。誰かに相談しようにも、私の周りで株式投資をやっている人がそもそもいない。仮に相談相手がみつかったとしても、英語での日常会話がままならない状態では、どうしようもないだろう。言葉の壁は思ったよりも大きい。

次に気付く障害が、日本とアメリカのシステムの違いである。例えば Google や Apple の株主になりたいと思ったとしても、始めにいくら必要なのかがわからない。日本では「単元株」というのがあって、株価が 100円だったとしても、単元株が1000株であるなら、はじめに10万円が必要である。しかし、インターネットで Google や Apple の株価を調べてみても、単元株という表記がそもそも見当たらない。おまけに、どこで株式を購入すればよいのかすらわからない。税金の仕組みもよくわからず、そもそも自分のような外国人が簡単に株主になれるのかどうかも分からない。挙げ句の果てに、ハワイとアメリカ本土との間には6時間の時差があるため、朝起きると、すでに株式市場が始まっている。これにサマータイムが加わってくる(ハワイにはサマータイムがない)のだから、なんだか笑えてくる。

そして、最後の障害が情報ソースである。Yahoo や Google を使えば、株価やチャート程度はすぐに手に入る。しかし、チャートに書かれた数字の単位が不明だったり、チャートとともに書かれた情報のどこに配当金やPERといった指標があるのかも、すぐには分からない。財務諸表の解読も、かなりシンドイ。日本なら、会社四季報や日経新聞、その他経済雑誌等、通勤途中のキヨスクやコンビニ、近くの書店で入手できる。一方、ハワイにいると、書店の数も少ないし、そもそもどの雑誌をみればよいかも分からず、右往左往して終わってしまう。アマゾンで本や雑誌を注文したとしても、アメリカ本土ではないため、時間も送料もかかってしまう、なんとも悲しい状況である。

そんな状況に立ち向かうべく、手に取ったのが本書である。洋書なら、アメリカの情報を入手できるし、さらに英語の勉強にもなる、まさに一石二鳥だ。ついでに Kindle で電子書籍を購入すれば、ハワイにいても送料を気にしなくてすむし、それに紙媒体と比べてずっと安い。それになにより、iPadで読むことが可能だ (無料のKindle アプリがある)。ということで、本書を基にアメリカで株主となるまでの道のりを以下に簡単に紹介してみよう。


本書は、初めて投資を行う人に向けてかかれたガイド本である。文章も分かりやすく、投資の基礎に重点が置かれている。さらに詳しく知りたい人のための本やウェブサイトの紹介もある。Kindle で読むのなら、電子書籍の利点を存分に味わえる。というのも、私は iPad にインストールした Kindle を使って読んだのだけれども、文章中のリンクをクリックすると、目的のウェブページへと飛ぶので、なかなか便利であった。投資の基礎については、日本で出版されている投資の本と比べても、それほど違いはない。しかし、私のようにアメリカで投資を行おうとするような人にとっては、役に立つ情報も多い。以下に、アメリカで投資を行うのに必要な知識を簡単に紹介してみよう。

投資アカウントの開設


アメリカで株を買うには、まず投資用のアカウントを開設する必要がある。日本では、証券会社に口座を開設すればよいのだが、アメリカでもそれは同じだ。しかし、開設に必要な書類が日本とアメリカでは異なる。本書には次のようにかかれていた。

You will just need your Social Security Number, personal information, and have access to a funding source like a bank account.

つまり、ソーシャルセキュリティーナンバー(SSN)、個人情報、それと銀行のアカウントである。アメリカで雇用され、米ドルで給料を受け取る場合は、たとえ日本人でもSSNが発行される。また、給料は小切手で支払われたり、銀行に振り込まれたりするため、アメリカで仕事をするなら、どのみちアメリカの銀行口座も必要である。ということで、アカウント開設に必要なものは、生活環境を整えていく過程ですべて入手できるものである。

それよりも問題なのは、どの証券会社を選ぶかである。さっそく google でアメリカの「証券会社」を探そうとしようにも、そもそもアメリカにどんな「証券会社」があるかすらしない。しかも、「証券会社」のことを英語でなんて言うかもわからず、どこが大手なのかも分からない。できることなら、管理費用が無料で売買手数料の安く、信頼できる「証券会社」に口座を作りたいのだけれども、いったいどうしたものだろうか。

私の場合は、そういった基本的なことにつまずいて、途方に暮れてしまうことが多い。しかし、そういった疑問も本書を読むと解決する。どうやら、アメリカにも証券会社があって、英語で正式にいえば、英和辞典にもでてくるように "a brokerage firm" というらしい。しかし、それよはちょっと堅苦しい言い方らしく、一般的には "brokerages" と呼べばいいらしい。しかも、日本のネット証券のように、手数料の安い仲介業者を "Discount brokerages" というらしい。うれしいことに、本書には具体的な会社名も書かれていた。以下にその部分を引用してみよう。

Discount brokerages are low-cost online accounts from firms like Etrade, Charles Schwab, and Fidelity. They allow do-it-yourself investors to purchase a large variety of common stocks, mutual funds, and ETFs.

Large players like TD Ameritrade, ETrade, Scottrade, and Fidelity all have compelling offers and are good places to star.

TD Ameritrade, ETrade, Fidelity, Charles Schwab, Scottrade といった "brokerages"の名前さえ分かればこっちのもので、あとは google 検索で詳細情報を入手できる。調べてみると各会社ごとに特色があってなかなか興味深い。たとえば、Charles Schwab にはハワイに支店があったり(ここ)、TD Ameritrade には夫婦で1つの口座を共有できるJoint accountがあったりする。あとは、環境や好みにあわせて自分に適した brokerages を見つければよさそうだ。

投資情報のソース


証券会社が決まれば、次にすることは、どの証券を買うかであろう。個別の株式については Google や Yahoo とった大手のサイトで株価を調べられるし、直接企業のサイトに飛べば、なんとか情報が入手できるので、なんとかなる。大手サイトでの株価チャートのチェックなら iPadのアプリに QuickChartsPro というのがあって、これを使うと便利である。また、アメリカでは日本と違って単元株という概念がないらしく、株価の値段がそのまま購入価格になるようだ。

一方で、ETF や REIT、投資信託 (Mutual found) といった証券を調べたい場合は、次のサイトが本書に紹介されていた。

ETFdb
Morningstar

REITの情報を得たい場合は、ETFdb のサブカテゴリーの Real Estate へといけばよい。それにしても、日本と比べて ETF の充実ぶりはホントにすごい。さすがである。

税金の優遇をうけられるアカウント


本書を読んで初めて知ったのが、"Tax-advantaged account" の存在である。日本ではサラリーマンの給料から年金が自動で天引きされ、勝手に運用され、挙げ句の果てに年金破綻の危機に直面している。日本のシステムでは、誰かが勝手に年金を運用してくれるので、便利といえば便利である。しかし、年金にまつわる数々の不祥事がこれだけあらわになってくると、日本のシステムが「年金」という名の単なる詐欺に思えてきてしまう。

一方で、個人主義が主流のアメリカでは、年金を自分で運用することができる。お金のことが煩わしいと思う人にとっては、うれしくないかもしれないものの、かといって不祥事続きの日本のシステムを受け入れる国民性はアメリカにはないだろう。本書によれば、アメリカ政府は、年金を個人で運用できるように税金の優遇措置を施しているようである。そういった税金の優遇措置をうけることのできる口座を "Tax-advantaged account" もしくは "Retirement account" とよぶらしい。日本でも一時期、「401k」という言葉を頻繁に耳にすることがあった。こういった「401k」や「 IRA (Individual Retirement Account)」が税金の優遇措置が受けられる口座である。とはいえ、アメリカでも大手保険会社の AIG が破綻したように金融システムが完璧なわけではなく、政府もいろいろと試行錯誤しているようだ。そのため、401k や IRA には、さらに "Roth"と "Traditional"とよばれる区分けがあって、税金の優遇額や特権にも違いがあるらしい。このあたりは、今後さらに勉強していかなければいけなそうだ。

アメリカ在中の日本人やアメリカへ留学する予定のある人で、資産運用を考えている人にとっては、本書がよいガイド役となってくれると思う。

Kindle version:


------ lhfluxの評価 ------
総得点 (15点満点) : 11 点
内訳
文章 (1-5) : 4 点, 内容 (1-5) : 4 点, 感動 (1-5) : 3 点
-----------------------------------


Contents
Preface.
Lesson 1: How to double your money every seven years.
Lesson 2: Making sense of the investment world.
Lesson 3: A practical guide to choosing an investment account.
Lesson 4: How to use tax-advantaged accounts to avoid investing solely for the benefit of Uncle Sam..
Lesson 5: Forming an investing plan.
Lesson 6: Knowing your alphas and betas.
Lesson 7: Beyond the stock market - An introduction to asset classes.
Lesson 8: Putting intelligent diversification into practice - it's more than the S&P 500.
Lesson 9: Implementing your target asset allocation.
Lesson 10: Managing for the long-term with a lockbox (and a sandbox).


【著者サイト】
Ivy Bytes


【参考図書】左から順に、Kindle version (amazon.com), 洋書(amazon.co.jp), 日本語訳(amazon.co.jp).
・Predictably Irrational, Revised and Expanded Edition: The Hidden Forces That Shape Our Decisions


・Stocks for the Long Run



・Triumph of the Optimists: 101 Years of Global Investment Returns
No kindle,


・Unconventional Success: A Fundamental Approach to Personal Investment


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posted by lhflux at 06:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋書:ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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