2012年02月04日

iPadで英語の発音が格段に上達する方法、しかも無料:フォニックスってなんですか? (松香 洋子)


Me talking to Ian on my phone at Kenwood House, Hampstead Heath / victoriapeckham



日本人の英語はアメリカで通じない...

誰が言ったか知らないものの、悲しいかな、私も最近になってこのことを身をもって体験した。

日本で生まれ育った私は大学院になるまで海外へ一度もいったことがなかった。それこそはじめて海外へ行ったときには、英語を話せるわけでもなく、ホテルでチェックインするだけでも大変苦労した。それが最近では仕事で何度か渡米するようになり、英語にもだいぶ慣れてきた。昔は水を買うことすら満足にできなかった私でも、最近は一人で気軽にスーパーで買い物ができるまでに成長し、何かあれば人に聞いて英語でコミュニケーションがそれなりにとれるようにもなった。日本語訛りとはいえ、それなりに英語が通じるのを体験して、「お、意外とオイラの英語でもイケルじゃん」なんて調子にのったりもした。

そんなある日、仕事でコロラド州のデンバーに行ったときのことである。その日は、標高の高いデンバーを寒波が襲ってきて、零度を下回るすごく寒い日だった。仕事がある会場からちょっと離れたホテルに泊まっていた私は、会場へとむかう途中に朝食を食べようと、スターバックスへ立ち寄った。氷点下の外とは裏腹に、店内は暖かく、あまり混んでいなかった。たちこめるコーヒーの香りや店内の落ち着いた雰囲気を味わいながら、リラックスして列に並び順番を待つ。お客も数名しかいなかったため、すぐに自分の番が回ってきた。慣れた調子で二言三言、愛想のいい店員さんと挨拶をかわす。暖かいラテが飲みたくて、店員さんに注文する。

私: I'll have a hot Latte.

注文が終わり、脇のカウンターへと向かう。外を見てみると、木枯らしが吹き寒そうにしている通行人がいた。そんな光景をみながら、暖かいラテが出てくるのを待っていた。しばらくして、私の注文した商品が出てきた。その容器をみてギョッとする。暖かいラテを頼んだつもりなのに、氷でガンガンに冷やされたアイスラテがでてきたのだ。周りを見回しても誰もおらず、どうみても自分が注文したことになっている商品であった。この寒さの中、アイスラテを飲むはめになるとは...

冷たいラテを持ちながら、席に着いて深呼吸する。冷静に今の自分が置かれた状況を分析してみる。確かなことは、自分の英語が通じていなかったことだ。私は "hot Latte" を頼んだはずなのに、でてきた商品は "cold Latte" である。ということは、私が発音した "hot" が、店員さんには "cold" と言っているように聞こえたことになる。明らかに異なるこれらの単語。いったいどうして "hot" が "cold" と聞こえてしまうのだろうか。以前に常夏のハワイで "cold Latte" を注文したら "hot Latte" が出てきたときの記憶が頭をよぎる。思わぬ屈辱を味わいながらアイスラテを飲む。身も心も冷えた私は、震える手を眺めながら頭の中でリベンジの灯をともす。I will be back.

そこで手にしたのが本書である。以下に、本書をもとに、英語の正しい発音の習得方法と、私があみ出したiPadを用いた究極の練習法を紹介してみる。



本書は、英語圏の子供たちが文字と発音をマスターするときに使用しているフォニックスの入門書である。フォニックスというのは、英語の文字と音のルールのことで、フォニックスを学べば、単語を見ただけで発音できるし、逆に、発音を聞いただけで単語を書くことができるようになるそうだ。私が中学生のころは、日本で英語の発音の勉強といえば、発音記号を覚えることであった。その結果、英単語をみると頭の中で、単語→発音記号→発音、という変換が行われる。しかし、帰国子女の友達に発音記号の話をすると、「発音記号?なにそれ?単語をみれば発音がわかるでしょ。なんでわざわざ発音記号なんて覚えるの?」と、たいそう驚かれた。それほどフォニックスは英語圏にとって当たり前であるものの、日本の学校教育では名前すら聞いたことがない。本書の冊子は薄く、全部で100ページにも満たない。しかも子供向けに書かれているため、オトナが勉強目的で購入するには抵抗があるかもしれない。けれども、本書をあなどってはいけない。英語の発音をマスターしている人にとってはたんなる幼児教育にすぎないかもしれないものの、私のような英語の発音がヘタな日本人にはやりごたえ十分な内容である。

フィニックスの内容に入る前に、英語と日本語の違いについて本書の説明を簡単に紹介しておこう。

日本語の特徴としては、文字と音とが1対1で対応していることである。ひらがなの「あ」はどんなときでも「ア」と発音する。唯一の例外といえば、「は」であり、文脈によって発音が「ハ」になったり「ワ」になったりするくらいである。一方、英語では、日本語で例外的であった「は」と同じ現象が一般的に起こる。アルファベットの「a」は、「エー」と読むとは限らない。このように英語の難しさは、アルファベットの呼び方と単語の読み方が一致しないこと、つまり文字と音の関係が分からないこと(p.10)にあるようだ。

英語の難しさは、オトナに限らず子どもも同様のようだ。言語の習得時期について、本書には次のような説明があった。

英語を読めるようになる年齢や速度は子どもによってかなり違います。フォニックスを学んで3ヶ月で読めるようになる子もいれば、3〜4年かかる子どももいます。なかには、3歳くらいで本を読む子もいますが、英語圏の全ての子どもが文字を読めるようになるのは7〜8歳です。日本人の子どもは4〜5歳でひらがなやカタカナが読めますから、7〜8歳というとずいぶん遅いように感じます。

とはいえ日本語の習得が簡単なのかというと、そんなことはない。著者は次のようにいう。

日本語の場合、入門期はやさしく、早くから子ども向けの本を読むことができますが、漢字の勉強が始まれば、道はとたんに険しく遠くなります。これとは反対に、英語は入門期が難しく、子どもにとってこの門をくぐるのは人生最初の難関と言ってもいいくらいです。(p.14)

著者の言葉を信じるならば、英語の習得は、はじめが大変で、そこさえ突破できればあとはラクなのだそうだ。そして、そのはじめの難関を突破する手段がフォニックスである。このフォニックスを習得するには、本書に付録としてついている CD を聞きながら必死に練習するしかない。フォニックスの詳細については本書を読んでもらうとして、ここでは冒頭でのべたように、どうして "hot Latte" が "cold Latte" となってしまったかについて最後に考えてみよう。

まず、"hot" を日本語で発音してみると 「ホット」となる。これを分解してあいまいに発音してみると、「 オウ ット」と聞こえる。しかし、フォニックスによれば、"hot" の "o" は「オウ」ではなく、口を縦に大きく空けて「ア」と発音する。その結果、"hot" の発音は 「ハッ!(トゥ)」に近くなる。どうやら私の発音では、"hot" が「 オウ ット」となってしまったらしく、アメリカ人には「オウ」だけが聞こえて、「 オウ ドゥ」→ "cold" となったようである。

とはいえ、自分の英語の発音がネイティブにどのように聞こえるか確認する手段はなかなかない。そこで iPad の登場である。iPad には google アプリがある。この google アプリには voice search 機能がついている。これを利用すると、自分の英語がネイティブにどのように聞こえるか確認できる。iPad を持っている人は、次のように設定してみてほしい。

1.「 Google アプリ」をダウンロード
2. 設定 → 一般 → 言語環境 → 言語 → English とする。
3. Google アプリを立ち上げて、voice search をタッチし、英語を発音してみる。

ここで "hot Latte" を注文してみると、思わぬ単語が飛び出してくる。自分の英語力を客観的に判断したい人はこれでチェックできる。本書と iPad (もしくは iPhone) があれば、もう寒いときにアイスラテを飲まずにすむはずだ。今度こそ。

フォニックスってなんですか?
松香洋子
mpi (旧 松香フォニックス研究所)
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------ lhfluxの評価 ------
総得点 (15点満点) : 13 点
内訳
文章 (1-5) : 3 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点
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目次
Part 1 フォニックスについて知ろう!
Part 2 フォニックスのルールを学ぼう!
 @ Phonics Alphabet フィニックス・アルファベット
 A Silent e eのついた母音
 B Poite Vowels 礼儀正しい母音
 C Consonant Digraphs 2文字子音
 D Vowel Digraphs 2文字母音
 E Consonant Blends 連続子音
 F Murmuring Vowels rのついた母音
 G Other Rules あまけのルール



【関連記事】
「英語の勉強法」という共同幻想:Rich Dad Poor Dad (Robert Kiyosaki)
Physics of the impossible: Part I (Michio Kaku)
Physics of the impossible: Part II & III (Michio Kaku)
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