2012年01月28日

知らないと損する黄金の羽根:『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 (橘 玲)』


Pluma / Feather / luisar


「経済的自由を手に入れる」

これはお金に関する私の主要なテーマになっている。経済的自由とは、「金持ち父さん貧乏父さん」 (amazonへ)で述べられていた概念で、簡単にいえば、一生働かなくても経済的に生活できていける状態である。働かずに得られる月々の収入が支出よりも上回った経済状態のことをさす。そうなってはじめて、お金に関する心配事がなくなり、経済的に自由となりえる。経済的自由を手に入れれば、自分がやりたいことだけに集中できるし、将来、年金がもらえるかどうかを心配することもない。そんな「経済的自由」を手に入れるのに必要なことはたった1つでよい。それは、現在の貯蓄額や収入の多さではなく、自分の家系や親から受け継いだ遺産でもない。必要なのは、ファイナンシャル・リテラシー、つまりお金に関する知識だけである。

とはいえ、この知識を得ることがなかなか難しい。というのも、「知識」というのはインターネットでグーグル先生に質問して返ってくるような答えではないからである。そこで返ってくるのはただの「情報」である。「知識」とは、この「情報」をいかに活用するかが問われている。このことを著者は端的にこう表現する。

「知識社会」あるいは「情報化社会」では、情報は瞬時に共有されていきます。だが、万人がそれを活用できるわけではありません。(p.7)

インターネットがこれだけ普及した現在、ほしい情報はすぐに手に入る。例えば、パナソニックの株価が知りたいと思えば、Yahoo! ファイナンスを見れば現在株価がわかるだけでなく、これまでの株価の推移をグラフで表現してくれる。財務諸表が知りたければ、MSNマネーの企業情報検索 にアクセスすると詳しい財務諸表が入手できる。だからといって、株で勝つことができるかといえば、それはなかなか難しい。これらはただの「情報」にすぎない。こういった「情報」を株で勝つためにどうやって活用するか、そこに「知識」の差がうまれる。そして、お金に関する知識を蓄えれば、お金持ちになるための近道ができると著者は次のように言う。

「知識社会」では、必要な情報を的確に入手し、それを活用する知識を有している人は、いくらでも近道ができます。そうでなければ、ひたすら回り道をするほかありません。「知識」が価値を持つとは、そういうことです。(p.7)


著者がいう知識を用いたお金持ちへの近道とは何か。以下に本書の内容のほんの一部を紹介してみよう。


本書は、知識を利用してお金持ちになるための近道を探す実用書である。今もなお根強い人気のある「金持ち父さん貧乏父さん」(amazonへ)がアメリカの税制を基に書いてあったのに対し、本書は日本の税制に基づいてあり、「金持ち父さん貧乏父さん」の日本版ともいえる。以前に紹介した「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」も、本書をベースにしていた。お金に関するかなりディープな話が多く、その内容の過激さからか、amazonでは現在、新書を扱っておらず中古品しか出回っていない。私も年始に古本屋で偶然、本書を見つけることができたので、即購入してしまった。そんな本書を基に、お金持ちになるための近道の見つけ方を簡単に紹介してみよう。

まず、お金を殖やす方法は全部で3つしかない。収入を増やす、支出を減らす、運用成績を上げる、の3つである。この3つをうまく組み合わせれば、より早くお金を殖やすことができる。例えば、年収アップや株式投資といった、「収入を増やす」ことや「運用成績を上げる」ことは、一見わかりやすく比較的派手に聞こえて景気のいい話になる。しかし、稼げば稼いだだけ税金や保険料が多く取られるため、例えば年収が12万円分増えたとしても、手取りが1万円増えることはほとんどない。さらに税収額の計算は複雑怪奇なため、いったい自分がいくら税金をとられているか全然知らないビジネスパーソンも多い。収入が増えたからといって、その分だけ手取りも増えるわけではないので、そこは注意する必要がある。一方で「支出を減らす」といえば、経費削減や節約といった、なんとなく暗く地味な印象をもつ。けれども実はここにお金持ちになるための脇道があふれている。

「支出を減らす」うえで注目すべきポイントはなんだろうか。安直に考えると日々の生活費を見直してひたすら節約に励むことだと思いがちであるものの、そうではない。ポイントは複雑怪奇な税金を逆手にとるやり方である。そのことを著者は次のように表現する。

歪んだ制度の下で生きることを余儀なくされている私たちにとって、国家の負の側(ダークサイド)を歩まず、合理的に人生を設計する方法はふたつあります。
1. できるだけ税金を払わない。
2. できるだけ多く再分配を受ける。(p. 146)


さらに著者はこう続く。

税コストを下げる方法には、節税・グレーゾーン・脱税の3種類があります。
節税は、税法に照らして適法な範囲で納税額を下げることで、本書ではこの方法を紹介します。日本の税制は大きく歪んでいるので、法的リスクを冒すことなく、有利な制度を組合わせるだけで大きな効果を生むことができるからです。(p.194)


例えば年末調整を考えてみよう。会社員として雇われている身であるなら、年末になると年末調整の書類を提出するはずである。このとき、何も考えずに自分の住所と名前を書いてハンコを押すだけの人もいるだろう。しかしよくよくみてみると、生命保険や個人年金に加入していたり、多額の医療費を払ったりしたのなら、税金控除の申請ができる。会社員は有無もいわせず税金を多めに徴収されているため、こういった制度を知らない人は、ただそれだけで損をしていることになる。しかも数年経って気付いて「今まで払いすぎてました」と訴えたとしても、その払いすぎた税金が戻ってくることはない。

著者は、こういった知っているだけで得をする制度のことを「黄金の羽根」と比喩する。いろいろと調べてみると、この「黄金の羽根」は本人が気付かないだけでいたるところに落ちている。とはいえ、ある人には「黄金の羽根」だとしても、別の人にとってみたらなんの価値もない場合も多々ある。例えば、大学によっては「授業料免除」という制度があって、規定を満たしていれば言葉どおり授業料が免除される。国立大学なら年間の授業料が50万円程度なので、年50万円程度の費用削減といえばかなり大きいのではないだろうか。しかし、誰もがその規定を満たすわけではなく、さらに規定を満たしていたとしてもその制度自体を知らない人は多い。悲しいかな、「黄金の羽根」が落ちているかどうかにすら気付かずに我々は日々生活しているのである。

そんな「黄金の羽根」の具体例については本書に詳しくあるので興味ある人は中古市場で本書を探してみるといいかもしれない。ポイントとしては、税金が投入されているところに「黄金の羽根」が落ちている可能性が高いようだ。特に自営業者の人は本書を読んで損はないと思う。経済的自由を目指している人はぜひ。



------ lhfluxの評価 ------
総得点 (15点満点) : 14 点
内訳
文章 (1-5) : 4 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点
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目次
Introduction 人生は一度しかない。だから近道を行こう!
PART 1 人生を設計するための知識
 1 世界にひとつしかない金持ちの方程式
 2 資産運用についてよくある誤解
PART 2 人生の大きな買い物
 3 不動産という呪縛
 4 生命保険は損をすることに意味がある
 5 見えない「貧困化」が拡がっている
PART 3 惜しみなく奪われる人々
 6 黄金の羽根を撒きながら堕ちていく天使
 7 国家に惜しみなく奪われる人々
PART 4 黄金の羽根の拾い方
 8 「法人」の不思議
 9 法人がわかれば人生が変わる
 10 不可能を可能にする奇跡のファイナンス
PART 5 税金について知りたい本当のこと
 11 裏金とは何だろう?
 12 税務署の表と裏
PART 6 もうひとつの人生
 13 海外投資の基礎知識
 14 永遠の旅行者



【住居関係の気になったコトバ】

・「住宅ローンを組んで家を買った方が有利だ」とよく言われます。これは、投資の戦略として、「借金をして信用取引で株を買った方が有利だ」というのと同じことです。確かに地価(株価)が上昇すれば、レバレッジの分だけ収益は高くなります。逆に地価(株価)が下落すれば、損失は膨らみます。(p.86)

・持ち家と賃貸に優劣がないとすると、住宅ローンを組んで家を買うのは、地価が右肩上がりの時にのみ有効な戦略であることは明らかです。不動産価格がローンの返済総額を上回って上昇してはじめて、借金(ローン)が「貯金」になるからです。(p.89)


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