2012年01月07日

目指せ究極のプレゼン!はじめの3歩:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン (カーマイン・ガロ)』


presentation skills / o5com


プレゼン。上手にやろうとしても、なかなかうまくいかない。私は職業柄、プレゼンをする機会が多い。それでも悲しいかな、なかなかプレゼン技術が上達しないものである。これからの季節、卒論や修論等でプレゼンをする人もいるだろう。そこで、昔に私が経験した、ある日のプレゼン風景をちょっとみてみよう。

発表日前日...

「うお、ヤッベー、パワーポイントのスライド作りが終わっていない...。とりあえず、タイトル、イントロ、実験、結果、結論、という流れでつくるか。イントロでは、過去の研究を箇条書きにすればよし。実験も箇条書きだな。結果は図を適当にぺぺっと貼って、最後に結論を箇条書き。お、これでなんとか完成しそうだ。あ、背景にこのテンプレートを使うとカッコいいぞ。うお、すげー。プロみたいな見た目になった。お、文字に陰をつけるとさらにカッコいい。あ、そういえばプレゼンでは何か面白いことをいうとよい、ってどこかの本に書いてあったなぁ。よし、1枚ギャグのスライドをいれとくか。うお。これで完璧。明日はオレもスティーブ・ジョブズだな。うははは。」

発表終了後...

「終わった...orz。いろんな意味で終わった...。緊張して声が震えてた。それだけでなく、時間内にプレゼンが終わらなかった...。しかもギャグのスライドが全くウケなかった...。なんてこった。今なら卒業できるかどうかすら怪しい...。はあー。へー。ふー。オレにはプレゼンの才能なんてないんだ...。スティーブ・ジョブズのプレゼンは、あれは神だな。あんなの誰にでもできるものじゃないんだ。ふー。なんてダメ人間なんだ、オイラがバカだった...」

誰でも一度はこんな経験がないだろうか。少なくとも私にはあった。さすがに今は、こんな悲惨な発表をすることはなくなったものの、これまでに何度かこんな苦い経験をしたことがある。今はプレゼンに多少は慣れたとはいえ、それでもやっぱりプレゼンが難しいことに変わりはない。自分にはプレゼンの才能があるとも思えないし、スティーブ・ジョブズのようなプレゼンなんて、できる気配すらない。やはりプレゼンがウマい人というのは、そういう才能を持った人なのだろうか。何度か苦い経験をすると、そういう疑問がふと沸いてくる。しかし本書は次のように答える。

ジョブズの準備の仕方やプレゼンテーションのやり方を正確に学びさえすれば、誰でも、あのすごい力が使えるようになる。彼のテクニックのごく一部を活用しただけで、一歩抜きん出たプレゼンテーションができる。競争相手や同僚が顔色を失うようなプレゼンテーションができるのだ。(p.7)

以下に、本書で紹介されていたテクニックのほんの一部を紹介してみる。卒論や修論発表が控えている人に参考になるとうれしい。


本書は、アップルのカリスマであるスティーブ・ジョブズが行った、驚異的なプレゼンの極意を紹介する内容である。プレゼンというと、自分を売り込むための手段だと考える人もいるかもしれない。しかし、本書で紹介されているプレゼン技術をひも解いてみると、プレゼンというのはコミュニケーション技術の応用であることに気付く。つまり、プレゼンの上手な人というのは、コミュニケーション技術の優れた人と言い換えることができる。というのも、上手なプレゼンというのは、自分を売り込むことができるかどうかというよりも、聴衆を巻き込むことができるかどうか、が決め手となるからである。そして、上手なプレゼンができるかどうかの分かれ目は、準備をしっかりとしたかどうかにかかってくる。以下に本書を基に、プレゼン初心者が抑えておきたい3つの基本事項について詳しく紹介してみる。



1. ストーリーをつくる



圧倒的な力と魅力で自分のアイデアに賛同してもらうための第一歩は、ストーリーを作ること、話の流れを作ることだ。流れを上手に作れるかどうかが平凡なプレゼンテーションと卓越したプレゼンテーションの分かれ目となる。(p.20)

冒頭の失敗例を思い出してみよう。彼はストーリーをつくらずに、スライドをつくろうとしていた。ストーリーをつくるということは、ロジックを組み立てることと一緒である。まずは、自分の答えるべき課題なり疑問なりを明確にし、その答えとなる結論が何かをはっきりさせる。スタートとゴールを明確にしないと、ストーリーはつくれない。スタートとゴールさえ明確にできれば、あとはそれを補うようにイントロや実験といったストーリーを盛り上げるための脚色なり演出を行う。上手なプレゼンを行うためには、このストーリーつくりにどれだけ努力したかが問われている。これについて、みんな次のようにいう。

アップルのプレゼンテーションを作っている人を含め、デザインの専門家はみな、プレゼンターは考えること、スケッチすること、筋書きを作ることに時間の大半を投入すべきだと言う。(p.25)

例えば、発表準備に1週間の時間があったとしよう。すると、ストーリーつくりには5日を費やし、1日で資料を作成し、最後の1日をプレゼンの練習に費やす、という時間配分になる。それくらいストーリーが大切である。デザインの専門家は、背景の色や絵にこだわるのかと思いきや、そうではない。プレゼンテーションの善し悪しを決めるのはストーリーであって、背景なり文字の装飾なりアニメーションといったテクニックは二の次なのである。そして、ストーリーさえしっかりとできれば、スライドの構成はおのずと決まる。


2. 情熱をもつ



がんばってよいストーリーを作成したとしても、残念ながら、それだけでは不十分である。というのも、発表時の心構えが冴えないと伝わるものも伝わらない。本書のコメントをみてみよう。

本書を読めば、アイデアを上手に売り込むためのテクニックは身につくだろう。しかし、自分のサービス、製品、会社、主義主張に対する情熱がなければ、テクニックなど何の役にもたたない。コミュニケーションの極意は、情熱を心底かたむけられるものを見つけること。そして、見つかるのは「モノ」ではなく、モノが顧客の暮らしをどう改善するのか、であることが多い。(p.77)

つまり、自分の発表内容に情熱をもっていないといけないのだ。偉大なプレゼンターと一般の人との違いはこの情熱にもあるようだ。著者は次のようにいう。

偉大なプレゼンターは情熱的なものだが、それは自らの心に従って行動するからだ。偉大なプレゼンターにとって会話とは、その情熱を他人と分かち合う方法なのだ。(p.68)

発表するときは熱い情熱が大切である。プレゼンするときにはこのことを胆に銘じておきたい。


3. 効果的なヘッドラインをつくる



よいストーリーを作成し、情熱をもって発表すれば、プレゼンのはじめのステップとしては十分であろう。というよりもむしろ、これら2つはプレゼンの基本中の基本であって、プレゼンを行う上での最低限のラインかもしれない。これらの基本に加え、効果的なヘッドラインをつくることができれば、さらに素晴らしいプレゼンができると著者はいう。次の言葉をみてみよう。

ジャーナリストの学校では、まず、ヘッドラインの書き方を学ぶ。新聞や雑誌、ブログの記事が読まれるかどうかをわけるのはヘッドラインだからだ。ヘッドラインは大切だ。今は、普通の人が私的コピーライターとしてブログやプレゼンテーション、ツイッター、マーケティング資料などを書く時代となりつつある。その状況でプロとして成功するためには、情報量が多く、かつ、はっと目を引くヘッドラインを書く力を身につける必要がある。(p.98)

最近、このブログでも記事にヘッドラインをつけるようにしている。どの程度の効果があるのかよくわからないものの、ツイッター等ではヘッドラインがあった方が興味を引きやすいかな、と思っている。なかなかいいヘッドラインが浮かばないときは、ホッテントリメーカーを利用したりもする。はじめは面倒だったけれども、こういったキャッチーなフレーズを考えるのも、やってみる意外と楽しいものだ。ヘッドラインをつけるときにポイントがあるようなので、本書にあったコメントをちょこっとひろってみた。

会社や製品、サービスを一言で表せるプレゼンターは少ない。計画のごく早い段階でヘッドラインを用意しなければ、一貫したメッセージを発信することはまず無理である。ヘッドラインを核にプレゼンテーションを作り上げるべきなのだ。(p.87)
アップルのヘッドラインが記憶によく残るのは、3つの条件を満足しているからだ。簡潔、具体的、そして、利用者にとってのメリットがわかる。(p.93)
たくさんの情報をごちゃごちゃ詰め込むと、聞き手は負担を強いられる。簡にして要とすべきだ。余白は洗練、上質、明快につながる。(p.180)

つまり、効果的なヘッドラインとは、プレゼンで主張すべき中心的なメッセージであり、その表現はシンプルである必要がある。逆にいえば、ヘッドラインがだらだらと冗長になっていると、それは自分の主張したいことがはっきりと定まっていないことになる。自分の主張をシンプルに分かりやすく伝えるために、効果的なヘッドラインの作成にも頭を使わないといけないようだ。


以上みてきたように、プレゼンを行うときに、初心者がまずはじめに注意すべき3つのことを紹介してきた。これらはあくまでプレゼンの基本であって、最低限おさせておかないといけない項目である。本書にはさらに、プレゼン中上級者向けにさらなる高度なテクニック等が紹介されている。プレゼンスキルを磨きたい人はおおいに参考になると思うので、興味のある人は本書をどうぞ。

最後に、偉大なるジョブズ氏に敬意を表して、彼の言葉を紹介してみる。新年にふさわしい言葉であろう。

「大好きなことを見つけてほしい。仕事というのは人生のかなり大きな部分を占めるわけだけど、本当に満足するには、すごい仕事だと信じることをするしか方法がない。そして、すごい仕事をするには、自分がすることを大好きになるしか方法がない。まだ見つからないなら、探し続けてほしい。あきらめちゃいけない。」(p.65)

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ
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------ lhfluxの評価 ------
総得点 (15点満点) : 13 点
内訳
文章 (1-5) : 4 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 4 点
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目次
第1幕 ストーリーを作る
 シーン1 構想はアナログでまとめる
 シーン2 一番大事な問いに答える
 シーン3 救世主的な目的意識を持つ
 シーン4 ツイッターのようなヘッドラインを作る
 シーン5 ロードマップを描く
 シーン6 敵役を導入する
 シーン7 正義の味方を導入させる
 幕間−その1 10分ルール
第2幕 体験を提供する
 シーン8 禅の心で伝える
 シーン9 数字をドレスアップする
 シーン10 「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う
 シーン11 ステージを共有する
 シーン12 小道具を上手に使う
 シーン13 「うっそー!」な瞬間を演出する
 幕間−その2 第一人者から学んだシラー
第3幕 仕上げと練習を行う
 シーン14 存在感の出し方を身につける
 シーン15 簡単そうに見せる
 シーン16 目的に合った服装をする
 シーン17 台本を捨てる
 シーン18 楽しむ
アンコール 最後にもうひとつ



本誌でたびたび登場するiPhone発表時のプレゼンのYouTube動画。全部で80分程度あってかなり長い。

PART1:



PART2;




・プロのデザイナーによるスライド
Slideshare.net: 2009年コンテスト結果

【本書で気になったコトバ】

・人は学び方で3種類に分けられる。ものごとを目から吸収する人(このタイプが一番多い)、耳から吸収する人、そして、体から吸収する人(実際に触ってみたがる人)である。3種類の人、全員にアピールできるようにすべきだ。(p.39)

・敵役(問題)を登場させると、聴衆が主人公(解決策)を応援したくなる。ジョブズはこの古典的な物語の手法を使うことが多い。(p.126)

・トップクラスの人々は、みな、意識的に練習していることが明らかとなった。なんとなく同じことをくり返すのではなく、具体的な目標を設定し、他人から意見を聞き、長期的によくなるほうへ進もうと努力を続ける。一つひとつのスキルをくり返しくり返し、何年も何年も練習するのだ。(p.316)


【関連記事】
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