2011年09月11日

株でシロートがプロに勝つ3つのポイント:ピーター・リンチの株式投資の法則 (ピーター・リンチ)

The MarketThe Market / Iman Mosaad


はたして、著名な経済評論家がいうように、シロートは株に手を出してはいけないのだろうか。

大手経済誌で掲載されている投資コラムをみていると、個人の資産運用として必ずと言って良いほど「インデックス投信」や「ETF投資」を勧めている。その理由として、手数料が安い、分散投資ができる、10000円程度の小額から始められる、そしてなにより、ほとんどのアクティブファンドはインデックスファンドの成績を下回る、といったことを挙げる。確かにこれらの理由には一理あるし、お金を殖やす目的としてはベストな選択のように思えてくる。

そんな言葉に魅了されて日本株のインデックスファンドを私も買ってはみたものの、どうも好きになれない。

私にとってインデックス投信やETFがイマイチ好きになれない理由は、長所のはずの分散投資にある。日経225やTOPIXといった指標連動型のファンドは、数百の上場企業の銘柄を買うことになる。当然、その中には自分の好きな企業も入っているものの、逆に言えば、嫌いな企業もたくさん入っている。どことはあえて言わないものの、平気でウソをついて子どもを危険に陥れる企業や、名ばかりの経営理念を掲げ実際には消費者からお金を巻き上げることしか考えていないような企業に、なんでわざわざ投資する必要があるのだろうか。そんな企業に投資してお金を殖やしたところで、いったい何になるというのだ。どうせ、私のようなアマチュア投資家は株でプロに勝てないのだから、自分の好きな企業やお世話になっていて応援したい企業に投資した方がよっぽど世のため人のためになるのではないか。たとえ損することになったとしても、それでいいではないか。株式投資をしていると、そう私は多少投げやり的になってしまう。

しかし、そんな投げやり的な私に、伝説の株式ファンドマネージャーと呼ばれるピーター・リンチ氏は味方してくれる。彼の投資方針を用いれば、アマチュア投資家でもプロをも凌ぐ株式投資のリターンを得ることも十分可能だ、という。株式投資のプロにはプロのやり方があるし、プロならではの制約もある。アマチュア投資家がそんなプロと同じ戦略をとる必要は全くなく、アマチュア投資家の投資スタイルさえしっかりマスターできれば、アマチュア投資家でも十分に株で資産運用できるのだそうだ。以下に、本書でピーター・リンチ師匠が述べた、アマチュア投資家が株でプロに勝つ3つのポイントを紹介してみる。



本書は、伝説のファンドマネージャーと言われるピーター・リンチ氏による長期株式投資のススメである。彼が"伝説のファンドマネージャー"と呼ばれるのにはワケがある。彼がマゼラン・ファンドの運用を始めたのが1977年で、そのときの純資産が1800万ドル(およそ18億円)であった。その後、ファンドの吸収や彼の手腕によって1990年には140億ドル(1兆4000億円)となっていた。運用成績もすごく、77年に彼のファンドに1000ドル(10万円)投資したら、90年には28000ドル(280万円)になっている。つまり13年間で投資資金が28倍にもなる。

本書では、そんな彼の株式市場に対する視点が紹介されている。まず始めに、10年程度の長い目でみると株式投資は債券投資よりも利回りが高いことを述べ、それからマゼラン・ファンドでの運用記が紹介されている。その後、彼が実際に用いた銘柄探しの手法を紹介し、最後に株式投資に関する黄金律を紹介して終わる。本文のところどころにアマチュア投資家が株で勝つためのアドバイスが散りばめられてあり、私のようなアマチュア投資家にとっては大変参考になる。

ここでは、本書の最後にまとめられていた株式投資に関する「20の黄金律」の中からいくつかを基にして、アマチュア投資家が株でプロに勝つための3つのポイントをまとめてみよう。その3つとは、株式市場の振る舞いを知り、企業調査の重要性を理解し、正しい心構えで株式投資に望むことである。

まず最初のポイントは、株式市場の振る舞いを知ることである。よくいわれるように、株式の振る舞いは気まぐれで正確に予測することはできない。上がっていたかと思うと突然、大暴落なんてことがよくある。日本でも、アメリカのサブプライムローン問題をキッカケに日経平均株価が2008年から2009年にかけて暴落した。その後ちょっとずつ回復してきたかたと思うと、2011年3月11日に東日本大震災という予期せぬ出来事が起き再び大暴落した。

ここからも分かるように、株式市場を正確に予測できる人なんているわけなく、「来週の日経平均株価の終値はいくらだ」と言われたとしてもそれを信じてはいけない。仮に当たっていたとしても、そんなのはただの偶然であって、未来を知らない限り常に当て続けるなんてことはない。天気予報に例えるなら、「今から1年後の2012年8月28日の横浜の天気は晴れで、最高気温が32度である。」と言われて、それを信じるようなものだ。

同様に、一流経済誌やどんなにエラい人が「あの業界はもう終わった」とか「日本の株式は今が買いである」と言ったとしても、それが当たる保証はどこにもない。本書では自分の保有している株式が五〇パーセント値下がりすることに耐えられない投資家は株式を保有すべきでない、というウォーレン・バフェットの警告(p.66)を紹介している。そんな株式市場の振る舞いをピーター・リンチ氏は次のように書いている。

・株価の下落は、一月のコロラドに吹雪が吹き荒れるのと同じくらい頻繁に起こることである。株価の下落は、慌てふためいて逃げ出した投資家が残していった割安株を拾う絶好の機会である。(黄金律13)
・正確に金利、経済、株式市場を予測できる者はいない。そのような予測は忘れ去って、投資した企業に何が起こっているかに注意を払うべきである。(黄金律16)
・人気業界の人気企業は避けたほうがよい。冷えきった成長性の乏しい業界でうまくやっている企業への投資は、往々にして良い投資結果に結びつく。(黄金律9)



株式市場は予測不可能だからといって株式投資で勝てないとは限らない。勝つための戦略は人によってマチマチであるものの、ピーター・リンチ氏は企業調査を行うことが重要であると説く。彼の説は、アメリカの大富豪ウォーレン・バフェット氏やさわかみファンドの澤上篤人氏と同じ長期投資のスタンスである。長期投資は、ただの運頼みの投機とは異なり、時間を味方につける。優良な企業をみつけ、企業調査に基づきその企業の株価を見積もることができれば、あとは安いときに買って高くなるのを待つだけである。そして、この長期投資のスタンスはアマチュア投資家でも十分に真似できる方法である。株式の投資家と投機家との違いは、次の言葉から読み取れる。

・何をどんな理由で保有しているのか知っていなければならない。「大丈夫、この銘柄は上がる」式のアプローチはあてにならない。(黄金律4)
・大穴は常にはずれるものである。(黄金律5)
・投資したいという株が見つからないなら、見つかるまで資金は銀行に預けておくのがよい。(黄金律7)
・企業の財務状態を十分理解しないうちに投資してはならない。財務体質の悪い企業への投資は大きな損失につながる。(黄金律8)
・調査なしで投資することは、手札を見ないでポーカーするのと同じである。(黄金律18)



最後に、株式投資を実りあるものにし、アマチュアの投資家として成功するためには、株式保有の心構えが必要である。なぜなら、それがないと権威ある専門家の意見や言葉に惑わされ、お金だけでなく自尊心までも失いかねないからである。そうなってしまうくらいなら、始めから株式投資なんてしない方がよい。本書にはこのように書かれている。

株式で儲けるための鍵は、強い意志にある(p.40)。

この強い意志をもつためにも、自分の投資方針をしっかりと持ち、企業調査を行って5社程度の優良企業を自分で見つけることができれば、あとは時期がくるのを待つだけである。ピーター・リンチ氏の経験として次のようなことが書かれていた。40年間の経験のなかで、NAICは私がマゼラン・ファンドで学んだのと同じ多くの教訓を学んだ。成長企業を五社買えば、その内三社は予想どおりの株価を示し、一社は予想していない問題に出合ってがっかりさせられ、あと一社は想像していたよりうまくいって、すばらしいリターンに大いに満足するというのが経験則である(p.38)。つまり彼の経験によれば、優良企業を1社見つけてその企業の株価が安いときに購入したとすると、その後の株価が10倍以上大きくなる確率がおよそ20%となる。そして、アマチュア投資家が株式投資で勝つためには、そんな優良企業を5社みつければ十分である。株式保有の心構えは以下の5つの黄金律から学べる。

・株式投資で利益を上げるのに必要な知識程度は、誰もが持ち併せている。ただ誰もが胆がすわっているわけではない。慌てふためいて何もかも売却してしまうような性格であるなら、株や株式投資信託は避けたほうがよい。(黄金律14)
・1000ドル(約10万円)投資すれば、失う金額は最高で1000ドル(約10万円)である。もし辛抱強く待てるなら、一万ドル(約100万円)あるいは五万ドル(約500万円)にまで増やすことは可能である。投資を実りあるものにするためにも、良い企業を数社みつけることが重要である。(黄金律11)
・株を買うということは子供を養うのと同じである。世話を見ることができなくなるほど持ってはいけない。職業としないかぎりは、八〜十二社以上を十分に調査していくことは難しい。ポートフォリオには五銘柄を超えて保有してはならない。(黄金律6)
・10社の調査を行えば見通しが明るくなっている企業が一社はあるものである。50社を調査すれば5社はそのような企業であろう。株式市場にはいつでもウォール街が見過ごしている企業群がある。(黄金律17)
・十分な銘柄調査の結果でき上がったポートフォリオは、債券やその他の金融商品のポートフォリオよりも長期的には利回りは良い。長期であっても選別が不十分であれば、ベッドの下に現金を置いておくほうがましである。(黄金律20)



アマチュアの株式投資家が読むべき本として、あの「金持ち父さん」の著者としてしられるロバート・キヨサキ氏が本書を勧めていた。不況にあえぐ今の日本だからこそ、投機家ではなく投資家になるために、本書を読んでみてはどうだろうか。本書を注意深く読み行動すれば、市場に隠れてしまっている割安な優良企業の株を見つけだすことができるかもしれない。そんな企業の株を買って、10年後の楽しみを増やす人生なんてのも私にとっては魅力的である。株式投資を始めたい人は、本書をどうぞ。

ピーター・リンチの株式投資の法則―全米No.1ファンド・マネジャーの投資哲学
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総得点 (15点満点) : 15 点
内訳
文章 (1-5) : 5 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点
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目次
序章 債券信仰からの脱出
第1章 聖アグネスの奇跡
第2章 週末の不安者
第3章 投資信託の旅
第4章 マゼラン・ファンド[前期]
第5章 マゼラン・ファンド[中期]
第6章 マゼラン・ファンド[後期]
第7章 熟練、科学そして汗
第8章 株式ショッピング 小売業界
第9章 外食株 食べたいものに関係する会社に投資を
第10章 悪いニュースでも儲ける
第11章 最近、スーパーカットで髪を切った
第12章 砂漠のなかの一輪の花
第13章 すばらしい買い物
第14章 循環株は行ったり来たり
第15章 苦悩の原子力発電 CMSエナジー
第16章 連邦政府のガレージ・セール アライド・キャピタルII
第17章 ファニーメイ日記



・年末が近づいたら思い出したい言葉。
税金対策の売りがでる11月から12月の間に、割安株のリストのなかから、株を買うとすてきな暮らしができる。というのは、1月まで保有すると、たいてい、株価は反発するからだ。この1月効果とよばれるものは、特に小型株によく表れる(p.177)。

・株の銘柄選びについてもっと詳しく知りたい人はピーター・リンチ氏による「株で勝つ」がオススメ。



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