2011年09月04日

ビジネス書を最大限に活用するコツ:COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン) 2011年10月号

Marionettes...VeniceMarionettes...Venice / christine zenino


あなたは自分の知らない間に他人に操られています。

そう言われて思い当たるフシがあるだろうか。あなたは「まさか!」と反論するだろうか、それとも「なんとなくそうかも」 と同意するだろうか。最近の心理学の研究成果は、人が必ずしも合理的な行動をとるとは限らないことを徐々に明らかにしつつある。そんな人の心理の特徴を知ることができれば、例えばビジネス書を最大限に活用するコツだって修得できる。

一つ例をあげてみる。ロングセラーかつ名著と言われる「7つの習慣」「人を動かす」「 プロフェッショナルの条件」の3冊を考えてみよう。



この3冊の中で一番よかった本を選んでください、と言われたら、あなたはどれを挙げるだろうか。扱っている分野が「自己啓発」「コミュニケーションスキル」「マネジメント」とそれぞれ異なっていて、私にとってはどれも甲乙つけがたい内容である。しかし、本をどうやって手に入れたかに注目することで本の良し悪しが決まってしまうことがある。

仮に三冊の本の入手方法がそれぞれ次の三通りだったとしよう。

1. アマゾンにて定価で購入して読んだ本
2. ブックオフにて中古で安く買って読んだ本
3. 図書館で借りて読んだ本

するとどうだろうか。本の内容に関わらず、たいていの人はお金を多く出した本ほど価値が高いと感じてしまうのではないだろうか。これら3つのアプローチで本を同時に手元に置くと、下手すれば図書館で借りた本は読まない可能性すらでてきてしまう。この現象は、お金を出せばそれだけ価値が高いと勘違いしてしまう心理が原因で、「プラシーボ効果 」と呼ばれる。つまり、ビジネス書を最大限に活用するコツは、できるだけ高いお金を払って本を購入することである。経済的自由を手に入れた人でなければ「こんなに高いお金を払ったんだから…」という心理が働いて、積読せずにありがたく本を読むのではないだろうか。

こんなのは最近の心理学研究があげた成果のほんの一例にしかすぎない。 日常生活には、ほんのちょっとした心理の違いで自分の気づかないうちに損をしていた、なんてことがまだまだ多くある。そんなことを示す研究成果のなかには、知らない方が幸せだったなんて内容もあるだろう。ここから先、心の弱い人はこの続きを読んではいけない。 人の心理を深く知りたい人以外は。

今月号のクーリエジャポンの特集である"すべては心理が決めていた"に入る前に、まずは全体を簡単に紹介してみる。記事のヘッドライン は後で目次にまとめてあるので、それを参照してもらいたい。ここでは私が興味をもった記事をピックアップして、全体を眺めてみよう。

まず、タイムリーな話題として外せない記事が"ノルウェー・テロ事件が炙り出す"理想社会"のもうひとつの貌""アデル、新時代の歌姫"である。ノルウェーの惨劇をニュースで聞いたときは少なからぬショックを受けたし、ビートルズ以来の衝撃といわれる新人歌手の歌声は気になるところである。

そんな話題の記事を横目に読み進めいていくと、新時代の到来を感じさせる記事が次々と目に留まる。まとめてしまえば、「IT技術がもたらした新時代の情報革命」とでもいえるのではないか。IT革命の立役者ともいうべき企業は Google である。広告とはいえ、別冊にある"「グーグルと一緒に未来を見よう!」" を読むと、私なんかはGoogleという企業に思わず魅了されてしまう。そんなGoogleの功績もあり、現在は世界中どこにいても自分の興味ある地域の情報に、簡単でかつリアルタイムに触れることができるようになってきている。その結果、発展途上国では安い労働力を武器にビジネスのアウトソーシングとしての受け皿として経済発展しつつある。

インドも例外ではない。"インドの「コールセンター」に潜入して、研修を受けてみた。"に書かれてあるように、アメリカやイギリスに行ったことがなくても、現地の人と同じような文化を疑似体験することが可能である。さらにこうした情報革命は、今までのゲームのあり方まで変えようとしている。"そして、すべてはゲームになる"では、情報のやりとりだけでなく、ゲームを通して教育からビジネス、さらには軍事までといった広範囲にわたり生活様式が変わりつつあることを考察する。

情報革命のきわめつけは、アマゾンの先住民にまで及ぶ。"ITを駆使して森林を護る"現代的"なアマゾンの先住民(p.69)"の記事には、ジャングルの中にいる上半身裸で頭に飾りをつけた先住民が、左手に Mac book air を持つといったなんだか奇妙な写真を掲載している。どうやら違法伐採者からアマゾンの自然を護るには、IT技術が大変役に立っているようだ。まさにIT革命の真髄をみる想いがした。

と、前置きはここまでにして、いよいよ本題の心理学特集に入ろう。本誌では、この特集で5冊の参考文献が紹介されている。ここではこれらの本にあわせてテーマを5つにしぼり、それぞれに簡単な解説を書いておく。「お!これは!」と興味を引くような内容があれば、画像をクリックして本を買ってみてほしい。このとき思いきって定価の本を買わないと「プラシーボ効果」が効かなくなるので注意が必要だ。

・「やればできる!」の研究

困難に直面しても挫折せず、目標を達成する人には、ある共通した「精神的 特性」があることが明らかになりつつある。その特性は"天賦の才能"でもなければ"生まれ備わった知能"でもない。アメリカのニューヨーク市にある12の学校の5年生の中から無作為に2つのグループに分けてあるテストをしたところ、この「精神的特性」を褒めた生徒たちのグループではテストの平均点が30%も上がった。その「精神的特性」とは何か。答えはこの本の中にある。

・まさか!?

賢い人は、判断を誤ることがあるのだろうか。ノーベル賞を受賞した経済学者のダニエル・カーネマンは高校生の教材を作るため、教員たちで構成されるグループを結成した。メンバーには、教育学部の学部長も含まれていた。カーネマンはメンバーに対し、教育省に教材の草案を提出できる日にちを予想してもらったところ、メンバーは18〜30ヶ月のあいだに提出できると予想した。しかし、過去に似たようなプロジェクトに参加したことのあるメンバーは、そういったプロジェクトの40%は完成に至らなく、さらに完成したとしても最低でも7年を要したことを経験している。それにもかかわらず、こういった判断ミスを侵してしまう。その理由を一言でいうと、主観的な視点が原因であるようだ。詳しく知りたい人は、この本をどうぞ。

・無意識の脳 自己意識の脳

これまで5年も頑張ってきたプロジェクトがあったとする。最後の最後に致命的なミスを侵してしまい、そのプロジェクトが無惨にも失敗に終わってしまった。そのプロジェクトを必死で引っ張ってきた上司が最後にみんなの前で気丈に挨拶をする。「残念ながら今回のプロジェクトは残念な結果に終わってしまった。結果は残念だったとはいえ、ここまでなんとかやってこれたのもみんなのお陰だ。みんなの努力には本当に感謝している。ビジネスで失敗なんてよくあることだ。みんなにはここでの経験を今後の仕事に活かして活躍してほしい。みんなありがとう。」そう言って上司は自分の部屋に入ってドアを閉めた。すると部屋の中から上司の大きな泣き声が聞こえてくる。こういった職場での感情表現を周りの人はどう受け止めるのだろうか。知りたい人は、この本を読もう。

・選択の科学

ランチで何を食べようか悩んでいると、「品数の豊富さがウリの店」というレストランをみつけた。とりあえず店に入って席につくと、ウェイターがやってきた。「何になさいましょう?」と聞かれたので「メニューは?」と問うた。するウェイターは奥から分厚い辞書のようなものをもってきて「当店にはほぼどんな料理でもそろっておりますので、この中からお好きな料理をお選び下さい」と、辞書のようなメニューを渡された。とりあえず、パスタでも食べようと調べてみると、アラビアータ、アラビアンパスタ、アラゴン風パスタ、アボガドとサーモンのクリームペンネ、... と続く。気がつけば、メニューを読むだけでランチタイムが終わってしまった...。この店の改善点を知りたければこの本にヒントがある。

・予想どおりに不合理

あなたならどれを買う?
A. 電子書籍.... 500円
B. ハードカバー本..... 2500円
C. ハードカバー本と電子書籍 .... 2500円
もし、あなたがCを選択したのなら、心理のワナにハマっているかもしれない。この設問のトリックを知りたければ、この本をどうぞ。

・手っ取り早く全部の内容を知りたい!そう思った人は、今月号のクーリエジャポンがいい。



目次
・すべては「心理」が決めていた
・アデル、新時代の歌姫
・インドの「コールセンター」に潜入して、研修を受けてみた。
・赤道ギニアの"プリンス"は今日も人生を謳歌する
・世界が見たNIPPON
・そして、すべてはゲームになる
・WORLD NEWS HEADLINE
・Courrier bis 世界の新聞業界はどこへ向かうのか?
・a la carte
・コラム
・広告別冊 Google 「グーグルと一緒に未来を見よう!」




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posted by lhflux at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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