2011年07月10日

0歳から育てる脳と心−8つの才能を伸ばす33のルール (森田 勝之)

息子が2歳になったころ、簡単なパズルを買い与えてみた。当時、息子がはまっていたボブとはたらくブーブーズ (原題:Bob the builder)のパズルである(下の画像。アマゾンリンクあり)。


そのときの息子の様子と父親の言動をみてみよう。

息子:パズルのピースを上下サカサマにもつ。
父親:「これは上下サカサマだよ。上はこっち。ハイ、これをそこにはめてみて。」
息子:パズルのピースを違う場所にハメる。
父親:「ちがう、ちがう。こっちだよ。」
息子:パズルのピースを持ちあげるも、またも上下サカサマにもってしまう。
父親:「おっとまた上下サカサマだ。ハイ、持ち方はコウ。はい、どうぞ。」
息子:なんとか、正しい場所にパズルのピースを置く。
父親:「うおー。上手にできたねぇ。すごいすごい。さあ、次は?」
息子:はめにくいパズルのピースを手にする。
父親:「お、それは難しいピースだなぁ。さあ、挑戦だ。がんばってみよう。」
息子:ピースを台に置くも、以前に置いたピースが崩れてしまう。
父親:「お、おしい。ここがコウで、これはコッチで、はい、元通り。」
息子:「ワーーーーー!!! ガチャガチャガチャ」突然憤慨して、パズルをバラバラにする。
父親:「あははは...。パズルはちょっとまだ早すぎたのかなぁ。」

果たして、子どもにパズルはまだ早すぎたのだろうか。以下に、本書に書かれている子どもの知性の発達について紹介してみよう。


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本書は、子どもの知性の発達について、脳科学的なアプローチで理解しようとする内容である。脳科学といっても、難しいことを言っているわけではなく、こどもの知性が脳のどの部分の活動と対応しているかを紹介する程度である。脳科学に対する知識がほとんどない人でも理解できるよう構成されている。

本書によれば、脳には八つの能力に対応する固有の場所が存在するようだ。以下に示すように、それら8つの能力が各章に対応している。

第1章 言語的知性:ことばを学び使う力の伸ばし方
第2章 絵画的知性:絵を描く力はこのように育まれる
第3章 空間的知性:空間をとらえる力がたいせつなわけ
第4章 論理数学的知性:乳児期から芽生えるロジックと数学力
第5章 音楽的知性:音楽脳はこうして育つ
第6章 身体運動的知性:運動と脳との強い関係をしろう
第7章 社会的知性:もう社会への準備がはじまっている
第8章 感情的知性:心と感情を豊かにする秘密


これら8つの知性について、本書には、各知性は独立して伸び、必ずしも知性感の相関性は高くないと考えられています。現在の脳科学が到達した成果です(p.17)とある。つまり脳科学の立場からいうと、どれかひとつの知性が高いからといって、かならずしも他の知性も高くなるというわけではない。したがって、幼児教育を考えるとき、これら8つの知性のどれかを伸ばせばよいというわけではなく、これをバランスよく育てることが大切なのだそうだ。

ただし、これはあくまで"脳の部位でみた知性"であって、こどもの知性を伸ばす場合はこれら複数の知性を同時に伸ばすことになる。例えば、絵本による読み聞かせは、言語的知性、絵画的知性、空間的知性および論理数学的知性の発達に寄与する。また、音にあわせて踊ることは、空間的知性、論理数学的知性、音楽的知性および身体運動的知性の発達に寄与する。本書にはその他にも子どもの脳の発達によいアイデア、例えば、ボール遊び、パズル遊び、お絵描き、おままごと、動物園へのおでかけ等、子どもの知性を伸ばすヒントが掲載されている。

しかし、子どもの知性を伸ばすうえで最も重要で大切なことは、まず「親自身が成長することだ」と説く。本書の目的も、こどもには"脳の成長"に合わせて伸ばすべき能力があり、親も子どもを育てることで成長するということを明らかにする本です (p.1)とある。こどもは何事においても初めて挑戦するのであって、はじめはできなくて当たり前である。こどもにはこどもの時間があって、おとなが経験する時間とは異なっている。オトナが「そんなこと、明日すればいいじゃない」と言っても、子どもにとってみると、明日になるためには夜までの時間や眠ってからなど、気の遠くなるほどの時間があるような気持ちになるのかもしれません(p.163)とあるように、こどもにはこどものペースがある。親もこどものペースを理解し、こどものペースで物事を進めることができるよう成長する必要がある。

冒頭で述べた父親は、息子が3歳になったころにはどうなっているだろうか。下にあるトーマスのパズルで遊んでいる様子を紹介してみよう。


息子:「おとうさん、いっしょにパズルやろう」
父親:「いいよ。交互にやろうか。お先にどうぞ。」
息子:「ぼくは、これ。はい、つぎ、おとうさん」
父親:「おとうさん、わかんないなぁ。どのピースをやったらいい?」
息子:「そうだなぁ...。じゃあ、これがいいんじゃない?」
父親:「お、これか。えっとここかな?」
息子:「ちがう。むきがぎゃく。こっちだよ」
父親:「ああ、こっち向きか。えっと、ここかな?」
息子:「そっちじゃないよ。えっとねぇ。ここにコウやっておけばいいよ」
父親:「なるほど、これでいいんだね。あ、うまくはいった。なるほど。」

どうやら父親もちょっとは成長したようだ。

子育てに参加したいけど、どうすればいいか分からず困っているお父さんには、まずは本書を読むことからはじめるといいかもしれない。



0歳から育てる脳と心―8つの才能を伸ばす33のルール
森田 勝之
創元社
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------ lhfluxの評価 ------
総得点 (15点満点) : 10 点
内訳
文章 (1-5) : 3 点, 内容 (1-5) : 3 点, 感動 (1-5) : 4 点
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目次
序章 子育ては親の成長でもあります
1 ことばを学び使う力の伸ばし方
2 絵を描く力はこのように育まれる
3 空間をとらえる力がたいせつなわけ
4 乳児期から芽生えるロジックと数学力
5 音楽脳はこうして育つ
6 運動と脳との強い関係をしろう
7 もう社会への準備がはじまっている
8 心と感情を豊かにする秘密


--- 気になったコトバ ---
・感情を育てる色、パステルカラーは安らぎを与える (p.62)
・歌をうたうことは、じつはいろいろな外国語に対するリズム感を養っている(p.92)
・心がストレスをもたないというのが想像の原点 (p.104)
・基本四感情:「怒り」「嫌悪」「恐怖」「愛情」(p.183)


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posted by lhflux at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 子育て | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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