2011年03月05日

COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン) 2011年4月号

国際的な視点を提供してくれる雑誌、クーリエ・ジャポン。その今月号のウリとなる特集は、"不況でも売れる"のはなぜか?「ヒットの秘密」を解き明かす、である。しかし、本屋でこの雑誌を手にした私は、今月号のこの特集記事をパラパラっとみて、今回は購入しなくていいかなと感じた。さあ帰ろう、と思って戸棚に返しかけたとき、巻末にある付録に気づいた。タイトルには、映画ではわからない「フェイスブック」のすべてとかかれていて、ザッカーバーグの顔がデカデカとある。これは、アメリカの雑誌「TIME」に掲載された記事らしく、19ページにもわたる内容だ。映画「ソーシャル・ネットワーク」が描くザッカーバーグは、ナマイキで嫌だけど憎めないヤツ、という設定になっていたものの、実際のところどうなのか。そう思った私は、結局、購入することにした。

実際に本誌を読んだ後も、私がはじめに感じた印象はかわらない。今月号の特集では、ひとつひとつの記事はそれになりに面白いものの、全体を通してみるとパンチが弱い。確かに、特集記事のフォードを救った「未来のクルマ」では、今後の車のあり方を知れるし、テレビ通販の「買わせる仕掛け」では、マーケティングを学ぶことができる。特集とはちょっと違うが、ジェイZのヒップホップの帝王は二つのカオを持つも面白い。しかし、ヒットの裏側を解き明かすほどの内容かというと、残念ながら物足りない。むしろ、この特集の裏側に隠れた記事の方が私にとってはおもしろかった。

私が気になったテーマは全部で5つ。それらは、エジプト情勢、フェイスブック関連ネタ、中国関係、世界が見たNIPPON、ミシェル・ウィリアムズである。以下にこれらのテーマについて、簡単に紹介してみる。

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これだけ巷で「エジプト」が騒がれているのに、国際的な視点を売りにするクーリエ・ジャポンがそれを見逃すわけにはいくまい。その期待どおり、エジプト情勢に関連した記事が次の5つである。
エジプト情勢
・ムバラク独裁政権を打倒したエジプトの「青年リーダーたち」(p.58)
・「ジャスミン革命」陰の立て役者チュニジアの勇気ある女たち (p.63)
・ニュースの番犬:保守派の論客たちを真っ二つに分断したエジプトの反政府デモ(p.70)
・エジプト情勢でアメリカが身動きを取れないのはなぜか?(p.96)
・佐藤優の国際ニュース解説室(p.124)

特に、ムバラク政権を打倒したエジプトの「青年リーダーたち」の記事は、当事者達の生の声を伝える貴重な内容となっている。視点は多少ことなるものの、「ジャスミン革命」陰の立て役者チュニジアの勇気ある女たちを併せて読むことで、中東で起きた革命の実情を感じることができる。残りの3つの記事は、「エジプト情勢」を外部からみた視点の内容である。革命の当事者達と部外者とのギャップがはっきりと感じられる。やはり、生の声がもつ威力はすごい。SNSのすごさも、そんな生の声にあるのだと思った。


2つ目のテーマは、冒頭でも述べたフェイスブック関連である。記事は3つだけであるものの、多くのページ数がさかれているため、内容は充実している。フェイスブックはなぜ世界でこれだけ人気があるのか、そしてなぜ日本ではそれほど盛り上がらないのか。この記事を読んだからといって、納得のいく答えが得られるわけではない。しかし、ザッカーバーグのフェイスブックに抱く理念を理解し、日本や中国の文化を理解すれば、自分なりの答えがみつかるかもしれない。
フェイスブック関連ネタ
・付録:映画ではわからない「フェイスブック」のすべて
・匿名性を重視する日本のネット文化をフェイスブックは変えられるか(p.101)
・中国人民的偽面書(p.108)



そして3つ目のテーマは、中国である。今後数十年の世界経済を考える上で中国の動向は無視できない、といったところで特に異論はないだろう。それくらい、欧米諸国は中国の動向に関心が集まっている。日本で「中国」というと、尖閣諸島にはじまり、危険な食材や著作権違反、中国人による土地の買い占めなど、比較的ネガティブな報道をよく耳にする。クーリエ・ジャポンをみていると、そういう記事もチラホラとあったりするものの、中国人の思考を理解し、どうやって中国とつきあっていくかを模索する記事もチラホラとでてくる。上のフェイスブックネタでもとりあげた「中国人民的偽面書」の記事は、ただ中国を批判するというよりは、中国市民の立場にたって彼らを理解しようとする内容である。そういう意味では、中立的な立場の内容であるため、感情論に流されないためにも参考になる記事であった。そんな中国関連記事は以下の5つである。
中国関連
・食の安全が侵される中国で市民に広まる「菜園ブーム」(p.52)
・巨額投資による懐柔政策がチベットに効かない理由 (p.56)
・米国を捨てて中国へ!太陽光パネル企業の一大決断 (p.90)
・中国人民的偽面書(p.108)
・ニクソンに傾倒する中国(p.127)



4つ目のテーマは、世界が見た日本である。為替相場をみていると、ここ1年の間、相変わらず円高傾向に変化ない。日本国内では、「急激な円安がきて、国債も暴落し、そのまま日本が沈没する」という悲観論が蔓延しているような気がする。しかし、海外から日本を眺めると、全く別の視点が浮かび上がってくる。今月号の"世界が見たNIPPON"を読んだ限りでは、日本の評価はけっして低くなく、むしろ円高も当然であると思えてしまうような記事であった。日本では、「アイルランドやギリシャに続いて日本も経済が破綻する」なんて極論も聞こえてくるものの、今回の記事によれば、日本経済は欧州でいうと、どうやらベルギーと似た体質で、欧州でも比較的に健全な部類に入るらしい。さらに日本文化を評価するような記事もあり、cool Japan を彷彿とさせる。日本国民の間では、政治の迷走を嘆く声をよく聞くものの、海外からみたら別にそんなことは今に始まったことではないし、国際社会では誰も日本の政治家に期待してない様子がよくわかってしまった。
世界が見たNIPPON (p.99)
・国債格下げも財政赤字も気にするな!日本経済を救う「たったひとつの方法」
・匿名性を重視する日本のネット文化をフェイスブックは変えられるか
・魅力を失った「メイン・イン・ジャパン」日本の工業デザインに未来はあるか
・S・ジョブズの経営哲学のルーツは「禅の教え」と「ソニー創業時の情熱」
・日本社会の「ガラスの天井」を破った女性研究員が生んだ"裸眼3Dテレビ"
・「インタビューには書面でお答えします」自分の"口"がない日本の政治リーダー



そして最後が、ミシェル・ウィリアムズである。
ミシェル・ウィリアムズ
・If not for work, I would have stayed stuck.(p.13)

この記事に掲載されたミシェル・ウィリアムズの写真がカワイイ。ものすごくカワイイ。普通カワイイというと、「明るい」「楽しい」「微笑ましい」「愛らしい」といったプラス感情の印象が一般的であろう。しかし、彼女のカワイさには、「つらさ」「悲しさ」「苦難」「苦悩」といったマイナス感情も含めたカワイさをまとっている。表面的なカワイさだけでなく、マイナス感情を含んでもなお、彼女の内面から湧き出るカワイさが写真にでているように感じる。大人の魅力、と言ってしまえば味気ないけれども、人間的に成長した彼女が醸し出す雰囲気に私は勝手に魅了されてしまった。ネガティブな感情を含んだ「カワイさ」は、トム・クルーズとケイティ・ホームズの娘スリ・クルーズ(p.43の写真)からも感じとれる。

そんな私の趣味はともかく、今月号のクーリエ・ジャポンは、フランス料理のようにメインディッシュで攻めるというよりは、中華料理のようにバリエーションの多いメニューで勝負するといった構成のように感じた。結果的に、それはそれで楽しめた。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 04月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 04月号 [雑誌]

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