2011年02月12日

長期投資で日本は蘇る! (澤上 篤人)

「インフレが来るぞーーー!!!」

ときどき、こういった話をチラホラと聞くことがある。

真相はともかくとして、では、もしインフレが来たとしたら、我々の生活にどういった影響があるのだろうか。

良い面がいくつかある。

よく言われることは、インフレになると金利があがり、銀行預金の利息が増える、という面である。現在は、例えば大手某銀行の定期預金をみてみると、年0.03% だったりする。つまり、銀行に100万円預けていると、1 年間に300円しかもらえない。今後、もし金利が上昇し、アメリカの大手銀行並みの年4%程度になったとしよう。すると、銀行に100万円預けていれば、1年間に40000円 (4万円) も、もらえることになる。

また、インフレでは貨幣価値が下がるので、もし借金をしていたら、その負担は軽くなる。例えば、缶コーヒーを自動販売機で購入しようとすると、現在では100円で買えないけれども(120円は必要)、30年前なら100円で買えた。これをそのまま借金にあてはめると、30年前に2000万円借りたとすると、それを現在の貨幣価値に換算すれば、およそ1670万円になる(=2000万円 x 100円/120円 )。

しかし、恐ろしいのは悪い面である。

特に、住宅ローンを35年の変動金利で借りている人は注意が必要だ。私の周りの人に話を聞くと、金融界者は「今は金利が安いから、今のうちに借りておいた方が得ですよ〜」という売り文句を口にする。しかも固定ではなく、変動金利をススメているようだ。もし、インフレになって金利が上がれば、借金で返済する利息も上がる。その結果、月々の返済額もあがり、いつまでたっても借金が減らない、といった借金地獄になりかねない。持ち家を売りたくても人口減少によって買い手がつかず、売れたとしても二束三文にしかならない。そうなると、アメリカでおきたサブプライムローン問題と似たような現象が日本でも起こりうる。

では実際のところ、インフレは来るのだろうか。それに対する著者の澤上篤人氏の見解を以下に紹介してみる。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン

本書は、日本の長期投資家として有名な澤上氏による、マクロ経済の見解である。著者によれば、今後数十年の間にインフレが来るだろうと予想している。そんなインフレに個人が対抗するために、長期投資をやろう、というのが本書の主張である。ただし本書は、「長期投資をどのように行うか」といった方法論ではなく、著者が経済に対して感じていることを述べた内容で、いってしまえば経済随筆に近い。従って、長期投資について勉強したい人は、本書ではなく、10年先を読む長期投資 (書評へ) の方がいい。本書では、「お金がまわれば経済はいくらでも成長する。ただし、お金をまわす長期投資家の思いや目線の高さによって、でき上がってくる社会は大きく左右される(p.309)」という、著者の願望が主な内容だからである。

では、著者が「インフレが来る」と考えている理由は何だろうか。そのおおまかな説明は、次のように書かれている。

1990年に起きたバブル崩壊以来、日本政府による大量のバラマキ政策がとられてきた。さらにサブプライムローン問題によって、世界中で今もなお、大量なお金のバラマキが行われている。現在はまだ不景気であるため、こういった資金はどこかに眠っているものの、徐々に景気が回復してくれば、いずれこの大量にバラまかれた資金が市場へと舞い戻ってくる。そうなると、本格的なインフレが起こる。

正確ではないかもしれないが、これが著者の考える数十年単位の主な経済の流れであろう。

インフレするかどうかは、私にはわからないけれども、ひとつ気になることがある。本書には書かれておらず、ちょっと話しが脱線する。それは、電子マネーである。ほんの数十年前までは、現物のお金を頻繁にやりとりしていた。それが最近では、電子マネーのおかげであまり現物のお金をみなくなってきている。つまり、現金が電子マネーに流れているのである。

これが何を意味しているか。例えば書籍を考えてみよう。

たいていの製本されたビジネス書は一冊数千円である。コレに対し、電子書籍は数百円程度が相場であろう。なぜなら、電子書籍なら、在庫コストや流通コスト、印刷コストといった費用がかからず、一冊あたりの原価をものすごく安くできるからである。そうなると、トータルでみて、本一冊の値段が安くなり、貨幣価値が下がる。これは一種のインフレではないだろうか。つまり、お金も書籍も、リアルなモノからバーチャルなモノへと流れて社会全体が効率化することで、インフレが起こる。そう考えてしまうと、もうすでにインフレは起きつつあるのかもしれない。

今後も、電子化されたものは安く、結果的にリアルなモノは高価になる傾向が続きそうだ。今から数十年後には、製本された本が社会から消えていく、というよりはむしろ今よりもずっと高価になっているのかもしれない。

--- lhfluxの評価 ---
総得点 (15点満点) : 7 点
内訳
文章 (1-5) : 2 点, 内容 (1-5) : 3 点, 感動 (1-5) : 2 点
---------------------------
長期投資で日本は蘇える!長期投資で日本は蘇える!
澤上 篤人

PHP研究所 2009-11-28
売り上げランキング : 84606

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


序章 世界最大の眠れる資源
第1章 これまでは、国が「お金を働かせて」くれた
第2章 これからは、「どう、お金に働いてもらうか」だ
第3章 投資とは、お金に働いてもらうこと
第4章 景気を良くし、経済を活性化させるのが、長期投資家の役割
第5章 世界は長期投資を必要としている
第6章 本格的な長期投資は簡単で楽
第7章 長期投資の先に広がる世界
終章 日本は新たなる成長で、21世紀の世界をリードする



↓↓書評ランキングはこちら↓↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
blogram投票ボタン

posted by lhflux at 11:02| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

最初の壁
Excerpt: 最初は誰でも目先の利益追いかけてしまうと思うんです。 そうでよね・・・・?僕だけかな? 最初は雑誌の載ってるような銘柄と優良銘柄ばかり買って ことごとく失敗してました それから勉強しなおして株の本30..
Weblog: 大学生 株日記
Tracked: 2011-02-12 21:11
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。