2010年08月08日

プリズンホテル 3 冬 (浅田 次郎)

総得点 (15点満点) : 13 点

内訳
文章 (1-5) : 5 点, 内容 (1-5) : 4 点, 感動 (1-5) : 4 点

最近はビジネス書ばかりを読んでいて、ちょっと息抜きが欲しいところであったので、禁断のプリズンホテルを手にした。プリズンホテルは全4巻から成り、登場人物はほぼ同じでも、1巻ごとにストーリーは完結する。一度読み始めると止まらなくなり、1つの巻を読み終わるころには、なぜかスサんだ心が癒されている。当然、1つの巻を読み終えるとすぐに次の巻を読んでしまいたい衝動にかられるが、プリズンホテルが永遠に終わって欲しくないという願望も相まって、私にとってプリズンホテルは禁断の書となっている。今回はこの攻防にて、続きを読みたい気持ちが勝ってとうとう3巻を手にしてしまった次第である。

みんビズ!の書評ではビジネス的視点で書いてみた。ここでは、プリズンホテルの魅力について考察してみたい。

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まずは簡単なあらすじから。

小説は、心のスサんだ人たちが、ふとしたことから人里離れた山奥の"奥湯元あじさいホテル"に宿泊するくだりから入る。このホテルは、仁義だの堅気だの極道だのといった言葉を使うコワい人たちが経営しており、別名プリズンホテルと呼ばれている。しかしこのホテルの従業員たちは宿泊客を誠心誠意もてなしてくれる。従業員達の心のこもったおもてなしに触れることで、宿泊客の心はじょじょに癒されていく。と同時に、読者の心も癒してしまうというなんとも不思議な小説である。

そんな1巻から3巻までの全体を通したプリズンホテルのテーマは"人生"であろう。それも特に不器用な人生をテーマにしているように感じる。

その人生という壮大なテーマの中でも、今回の第3巻は愛がメインとなる。親の愛に気づかない子供、女性を愛することを畏れる小説家、自分の気持ちに素直になれない看護婦、山を愛してしまった男。そんな人達がプリズンホテルへと足を踏み入れ、自分の人生と向き合う。そして最後には目を背けていた自分の中にある愛という感情をしっかりと認識し、残りの人生を再スタートさせる。プリズンホテルにはどんなネガティブな感情をも受け入れてくれる、そんな懐の深さに心が癒されるのかもしれない。

第1巻や2巻と比べると、3巻はどちらかと言えば静かにストーリーが展開する。タイトルに"冬"とあるように、春をジッと待つようなそんな静けさである。春の開花に向けて、新たな人生の芽は寒い冬をじっと堪え忍んでいる、本巻からはそんな印象をうける。

ということは、最終巻では新たな人生のスタートを祝うことになる、ということか。しばらくは、続きを知りたいと思う気持ちと、終わって欲しくないと願う気持ちの狭間を楽しむことにしたい。プリズンホテルの最終巻を読み終えるときは、ハリーポッターを読み終えてしまったときのような、もしくは、ワールドカップが終わってしまったときのような、満足感と悲壮感の合わさったなんともいえない複雑な感情を味わうことになりそうである。



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ラベル:小説 浅田次郎
posted by lhflux at 09:29| Comment(0) | TrackBack(1) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: 総得点 (15点満点) : 15 点 内訳 文章 (1-5) : 5 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点 まさに、芸術作品。 プリズンホテルを全巻読み終えた後の私..
Weblog: おでこのめがねで読書レビュー
Tracked: 2010-11-03 21:10
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