2010年07月17日

ウーマン・エコノミー 世界の消費は女性が支配する (マイケル・J・シルバースタイン/ケイト・セイヤー)

総得点 (15点満点) : 15 点

内訳
文章 (1-5) : 5 点, 内容 (1-5) : 5 点, 感動 (1-5) : 5 点

日本では少子化による労働人口の減少が懸念されている。この労働人口の減少を補う方法として、外国人労働者をもっと受け入れるべきだという主張をテレビで聞いたきがする。ただその場合、文化の違いなどから日本人と外国人との間に軋轢が生じることを心配する声も聞くし、アメリカの移民のように、いろいろな問題も生じるだろう。しかし、そんなことをしなくても、日本人女性が働くようになるだけで、かなりの労働人口の増加が見込まれる。

現在の日本における労働人口の男女比がどれくらいかよく知らない。ただし、ラッシュ時におけるつくばエクスプレスの女性専用車1車両とその他5車両がほぼ満員となっていることから推察すると、男女比は5:1くらいであろう。この先、女性の社会進出が進めば、今の労働人口に対して最大80%程度の増加となる。そしてこれからは女性の活躍する機会がますます増えるだろう。個人的にも、これからは女性の要望を満たす商品をいかに創り出せるかが企業の発展にとって重要ではないかと考えている。

ただ、いかんせん男性の私には女性の心が分からない。そこで本書を手にしてみた。本書は日経アソシエの「今、読むべき本」特集で女性の消費心理を知るための本として紹介されていた。原書である"Women Want More (amazonへ)"は、2009年9月に出版され、関連論文が「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されたほか、「タイム」や「フィナンシャル・タイムズ」でも取り上げられ、アメリカで大きな反響を呼んでいるそうだ。女性の消費心理が理解できない男性の私も、本書を読んではじめて女性の消費行動について理解できた気がする。

本書の詳しい書評はみんビズ!に書いてみた。ここでは、男性と女性の違いについて、考察してみる。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン
当然、個人差はある。しかし、統計的にみて男性と女性とで仕事の仕方や価値観に大きな違いがある。

男性は、一度に一つのことしかできない。しかしその分、高い集中力をみせる。その結果、一局集中型とも言われたりする。例えば、自分を含めて男性が食事を作るときを思い起こすと、男性は一品ごとに料理を仕上げる傾向にある。そしてその一品がおいしくなるよう最善を尽くそうとする。コックに男性が多いのも、このことが理由としてあげられるかもしれない。

一方で女性は同時に多数のことをこなすマルチタスク型である。男性の人は、女性が料理をするところを観察してみると面白いことがみれるかもしれない(ただし、黙ってみないと大変なことになる)。女性の場合、料理を一品ずつ仕上げるというよりは、コンロをフル回転させて一度に複数の料理を同時並行で作成する。まな板の上には数種類の野菜が並び、せまいキッチンでも作業スペースをうまく確保する。そして、料理をしていたかと思うと、洗濯やダイニングの片づけなど、世話しなく動き回る。見ているこっちは、"オイオイ、火がつけっぱなしで危ないぞ"と思ってしまうのだが、そんなのは女性にとって大した問題ではないようだ。男の私からしてみたら摩訶不思議である。

こういった特徴が価値観にも現れる。

男性は自分中心で物事を考え、自分を一番大切にする傾向があるように思う。まずはしっかりと自分の軸を形成し、自分が幸せになることで、その幸せをみんなに分け与えるという精神なのかもしれない。

一方、女性は自分の幸せよりも家族やパートナーといった他人の幸せをまず大切にする傾向があるようだ。本書によれば、あなたにとって一番大切なのは誰かと聞いたとき、女性は自分よりも、子どもや親もしくはパートナーが一番と答え、自分を2番目か3番目に挙げる。これは世界的に見られる特徴らしい(唯一メキシコ女性だけは自分が一番と答える)。女性はマルチタスク型だと思えば、どれかに優先順位をつけるというよりは、むしろすべてを望むということになるのかもしれない。

本書で紹介されていた女性の価値観を読んで、女性の考えがちょっと理解できたような気がした。それを以下に引用してみる。

女性は欲張りだ。
職場や社会では、平等、同等、機会、公正を求め、
共感、理解、つながり、健康、愛情、安心、幸福を求め、
製品やサービスに対しては、さらに要求が多く、欠点を見逃そうとしない。
あなたに意見を聞いてほしいと思っている。
あなたの製品やサービスを実際にどのように消費しているか、理解してほしいと思っている。
不満や真摯に受け止めてほしいと思っている。
自分の今の、また未来のニーズに応える新商品を開発してほしいと思っている。
自分が影響力のある社会的ネットワークの一員であり、「コミュニケーション・マシーン」であることを知ってほしいと思っている。つまり、あなたの製品やサービスのすばらしい点やどうしようもない欠点を大勢の人に伝えるということである。しかも即座に、執拗に、幾度となく。(p.55)


これからの時代、女性の社会進出が経済発展の鍵を握るようになることは、間違いないだろう。本書を読んで、女性がもつポテンシャルの高さを再認識した。女性は勤勉である。情報収集力に長け、目利きも鋭く、バランス感覚に優れている。女性の意見を真摯に聞くことで、良い商品をさらに良くすることができると感じる。女性が政治を行えば、国がもっと良くなると思ってしまう。あまりの女性の優秀さに、本書を読むと男性は萎縮してしまうかもしれない。

しかし、女性はすべてを望むあまり、ひとつだけ男性の方が優れている点がある。本書には書かれていないが、おそらく女性は優先順位をつけることが苦手なのだろう。男性の一局集中型という強みと女性のマルチタスク型をうまく活かすことができればすばらしい組織ができるかもしれない。



序章 革命的チャンス
第I部 ウーマン・エコノミーを動かす力
 第1章 世界で最も注文の多い消費者
 第2章 六つのライフスタイル・パターン
 第3章 話のわかるブランド
第II部 女性とつながりが深い分野
 第4章 食 ―「晩ごはん、何にしよう?」日々の悩みへの答え
 第5章 フィットネス ― 心も体も健康になるために
 第6章 美容 ―今度こそ効いてほしい
 第7章 アパレル ― 飽くなき探求、大いなる不満
 第8章 金融サービスと医療
第III部 世界各国の女性たち
 第9章 成熟経済圏 ― ヨーロッパと日本
 第10章 新興経済圏 ― BRICs、メキシコ、中東
 第11章 世界のための「もっと」
 終章 女性の台頭 ― 平等、パワー、影響力の未来


↓↓書評ランキングはこちら↓↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
blogram投票ボタン

posted by lhflux at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/156628788

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。