2010年05月27日

大前研一通信 2010年5月号

R+様より献本いただきました. これまで献本していただいた大前研一氏関係の書物は、大前研一通信2009年11月号パスファインダーに続き、3作目となります. いつもどうもありがとうございます. 

まずは内容から. 本雑誌は大前研一氏があちこちで発言してきた内容を集めて編集したもの. その中でも今回は、"日本の真実 Part III" と題して、核や自衛隊といった軍事関係の政治と、アジアの中の日本経済が主な話題である. 視点としては、アメリカ寄りのリベラルなモノの見方となっている. その結果、欧米諸国との比較で話しが進み、先進国ではコウなっているのに日本では未だにコウだ、という論理展開となる. 欧米コンプレックスを持つ日本人は、大前氏の発言を聞いてそうかも、と納得してしまうかもしれない.

以下に大前氏の発言を見極めるためのポイントと、日本に足りないものについて、私なりの考えを書いてみた.

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン
まず、欧州先進国の国民性と日本人の国民性をうまく言い表したジョークがある. どこでこれを見たかは定かではないものの、主に次のような内容だったと記憶している.

イギリス人は歩きながら考える. フランス人は考えた後で走り出す. スペイン人は走ってしまった後で考える. そして日本人は、周りが走り出すのを見てから走り出す.

つまり、日本人の国民性として、諸外国、特に先進国の様子をみて行動する特徴がある. これに加え、欧米諸国に対する劣等感、アジア諸国に対する優越感があり、アメリカやヨーロッパの行動をマネし、中国や韓国を軽視する言動が日本人には目立つ. 大前氏の論理構成ではこういった日本人の国民性を踏まえて、"欧米はもうあんな遠くに行っちゃって、すぐ後ろには中国、韓国、台湾が迫っていますよ. こんなんで日本は大丈夫?もっとしっかりしてくれ"と、話しが展開されている.

この特徴が現れている大前氏の発言を拾ってみよう.


韓国ではTOEICの足きりが一流大学では八〇〇点になり、サムスンでは九二〇点取らないと課長になれない。(p.3)

日本の法人税の実効税率は約40%と高く、世界でもトップクラスである(p.27)

日本人の定年後の生活、すなわちセカンドライフは、欧米など世界の"先進国標準"に比べると、あまりにも退屈で寂しい状況になっています。 たとえばアメリカでは、寒い北部の都市で仕事をしていた人たちは、温暖で風光明媚な土地に移り住むことが当たり前になっています。(p.31一部改)


これらの発言から見られるように、"外国と比べて日本人はここがダメ、なのでそこは外国のマネをしよう"という論理展開が基本である.

ただ、私が気になるのは、本当に外国のマネをすればよいか、という点である. たとえTOEICの点数が920点で英語を流暢に話せたとしても、内容の中身がしっかりとしていなければ意味が無い. 逆に英語が中学レベルの簡単な表現しか使えないとしても、内容を伴っていれば話しは相手に伝わるし、相手も理解してくれる.

たとえ法人税が高くても、水道や電力の完備、夜間の安全性といった社会インフラの整備がしっかりしていれば企業にとっても魅力的ではなかろうか.

また、自分の住みなれた土地に住み続ける方が幸せ、という人もいるだろう. さらに言えば、日本に限らずどの国も何かしらの問題を抱えている.

では、日本に足りないものは一体なんなのか.

私が思うに、それは"基本理念"に沿った言動である. 企業に理念が必要なように、日本も理念が必要である. 例えばアメリカでは、"自由"を大切にする価値観がある. もし日本の理念が民主党の掲げる"自由で安心な社会"を目指すなら、それはそれでよいと私は思う. すると今の政治に対して我々国民が評価すべきは、欧米諸国のマネやアジア諸国との比較ではなく、本当に"自由で安心な社会"に向かっているか、ではなかろうか. じゃないと、みんな好きかってに発言して、いっこうに議論がかみ合わないまま終わってしまうだけだから.

大前研一通信を読むときは、大前氏の発言内容を理解するというよりも、大前氏の発言に対して議論する、という読み方が個人的にはスキだ.

それにしても、日本の政治はもちっとなんとかならんのかな.
PRESIDENT
/~\Fujisan.co.jpへ


大前研一通信ホームページ

主な記事
特集
Opinion リーダーが分けた骨なしの日本、昇竜の韓国
改めて問いたい―自衛隊と国家元首の問題
「密約」で岡田外相は大切な議論を放棄した?
「核持ち込み密約」をリークした外務省の思惑
世界経済の地図から消えていく日本とトキの姿
ウィルコム支援に110億円出資
日の丸エレクトロニクスの手中に最後に残るのは「匠の技」だけだ
中国・韓国・台湾の巨大企業が大攻勢!"縮み思考"のニッポンに勝機はあるか
「デジタル大陸」時代の海外戦略を描けぬ情報エレクトロニクス産業"最大の弱点"
政治
選挙目当ての税制論議はもう止めてほしい
もはや国債の発行余力を失った日本政府
生き方
日本人の「セカンドライフ改革案」


↓↓書評ランキングはこちら↓↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
blogram投票ボタン
ラベル:大前研一 雑誌
posted by lhflux at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。