2010年05月05日

「空気読み」企画術 (跡部 徹)

R+様より献本いただきました. どうもありがとうございます. 

まず、本書をみてちょっと驚いたのが、全体が黒と青の2色刷りで構成されているところである. 普通、書物にカラーを盛り込むとそこそこ値段があがってしまうものの、本書の定価は1500円となっており、ビジネス書としては標準的な値段におさまっている. 最近は、印刷コストが安くなったのか、それとも出版業界も電子書籍に対する対抗策としてこういった2色刷りを使用するようになってきたのかは、私には不明である. 読者としては、読みやすければモノクロでも2色刷りでもどちらでもよい. ただ、こういった細かいアクセントが今後主流になるかどうかは注意して追っていきたい.

さて、本書の内容に入ろう. 本書がターゲットとしている読者は、日々企画を考え、その実現へと格闘している、そんなあなた (はじめにより) と書かれている. 私は企画を考えるような職ではないので、読者ターゲットから思いきり外れている. しかし、本書を読んで、マーケティングにおける実戦的な消費者分析を知ることができた. タイトルにある「空気読み」というのは、"消費者心理を読み解く力"と本書では表現しているようだ. つまり、本書のウリは、消費者分析に基づく企画の作成手法といってもよいだろう. 以下に本書で紹介されていた具体的な手法についてまとめてみる.

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先に断わっておくと、私は全然マーケティングに詳しくない.

ただ、それでもマーケティングの環境分析として、3C分析という言葉は聞いた事がある. 3Cというのは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)である. 本書はこのうちの顧客分析、つまり消費者が求めているものを、どうやって読み解くかを具体的に記している. その方法は、消費者が解決してほしい問題と、世の中のトレンドを知り、ターゲットを設定して、そのターゲットを網にかける、という順番である.

まず、消費者が解決してほしい問題の見つけ方から.

ポイントは"イライラ"である. 自分でも、他人でもどちらでもよいので、"イライラ"した状況を見つける. その"イライラ"している原因を探ることで、消費者が解決してほしい問題を浮き彫りにする. たとえば、電子媒体としてちょっとしたメモをとりたいのだけれども、パソコンに保存しようとしても起動に時間がかかってしまってイライラした経験があるとする. そういう人をターゲットにしたデジタルメモの機器として"ポメラ (amazonへ)"がある. こういった"イライラ"の原因を探ることで、消費者が解決してほしい問題のアイデアが浮かぶ.

次に世の中のトレンドを知る方法について.

トレンドというのは、一発屋芸人のような1年程度の短い期間ではなく、ロングセラー小説のような数十年程度のゆっくりとした時間の変化を指す. 身近な例でいえば、温暖化に伴う気温上昇がこのトレンドに相当する. 今年のような寒い春もあれば2007年の夏ような暑い年もあるといった短い変化を繰り返しながら、全体としてゆっくりと温暖化するというのがトレンドである. このトレンドを抑えておくことで、世の中の時代の流れというのを掴むことができる. 本書によれば、こういった時代のトレンドを示す情報は、業界誌やデザイン誌、ファッション誌といった雑誌が最初に目をつけ、漫画や小説によって盛り上がっていき、テレビなどのマスメディアで取り上げられて最高潮に達するという特徴があるらしい. つまり、トレンドの引き金となる情報を雑誌で掴み、その情報がテレビで取り上げられてしまったら、あとはスタれるだけと考えればよさそうである.

消費者の求めているものがわかり、全体のトレンドを掴めば、より具体的な消費者の設定を試みる. 専門用語を使うと、ペルソナの設定である. これにより、ターゲットをより明確に定義し、売れるためのストーリー作成の手助けとなる. 以下にペルソナを設定するための7項目を本書より引用する (p.174より).
@年齢 / 性別 / 職業 / 家族構成
Aどこに住んでいるのか?
B普段付き合っている人たちはどんな人たちなのか?
C収入はいくらぐらいか?
Dどんなお金の使い方をしているのか?
Eどんな余暇の使い方をしているのか?
F大切にしている価値観は何なのか?どうなりたいと思っているのか?


最後に、ターゲットとして設定したペルソナが、企画に出会うための仕掛けを創る. マーケティングの専門用語を使うと、「AIDMA」や「AISAS」といった何やら難しそうな単語がでてくるが、要は、出会いのストーリーを作成すればよい. ターゲットの行動を想像しながら、そのターゲットの行動範囲内に、企画と出会うための網をしかける.

例えば、次のように簡易的にペルソナを設定してみる. "23歳の男性会社員。普段はビジネス書をよく読み、自己の成長に励んでいる。休日はよく書店をウロウロする。なにかしら社会の役に立つような仕事がしたい。" そんな彼に、"おでこのめがねで読書レビュー"というサイトに訪れるよう企画を創るには、どうすればよいか. ひとつの案としては、彼がよくいく書店とのコラボで、"みんなを幸せにする仕事への取り組み方を学ぶための一冊"という企画を作成し、その書店に網を張るのがよいかもしれない. つまり、ペルソナを設定することで、企画との出会いのストーリーをより具体的にイメージしやすくなる.

私は以前に、マーケティングの勉強をしようと思ってマーケティング関係の本を読んでみた. けれどもそのときは、とにかくいろんな専門用語でまくし立てられて、よく理解できないまま最後は挫折してしまった経験がある. しかし、本書を、私のようなマーケティング初心者が、実践的な顧客分析を学ぶために読むと、マーケティングのとっかかりを掴むためのヒントが得られると感じた. 当ブログのアクセスアップに、本書の内容をちょっと実践してみようかなと、ふと思ってみた.



目次
はじめに
第1章 なぜ、「空気読み」でいい企画が作れるのか?
第2章 空気が読める「発見体質」に変わるトレーニング
第3章 誰でもヒットメーカーになれる「空気読み」の技術
第4章 関係者のメリットを描き企画に落とし込むフレームワーク
第5章 企画をみんなに理解させ人を巻き込むプレゼン術
おわりに


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posted by lhflux at 14:34| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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