2010年02月13日

ネクスト・ソサエティ (P. F. ドラッカー)

総得点 (15点満点) : 12 点

内訳
文章 (1-5) : 4 点, 内容 (1-5) : 4 点, 感動 (1-5) : 4 点

みんビズ!にも記事があるのでどうぞ.

前回、柳井社長がドラッカーを語っている本を読んで、またドラッカー本が読みたくなった. 近くの図書館に行ってみると、このネクスト・ソサエティがおいてあった. 2000年前後のドラッカー氏による論文が基になっているため、新しい内容である.

本書の内容は、タイトルにあるとおり、次の時代に到来する社会についてである. 当然、未来を予測することは難しい. しかし、これまでの歴史を注意深くみていくと、次の時代に何が中心となるかが見えてくる. まず、これからは少子高齢化が避けられない. それに伴い雇用形態や労働市場の多様化も必然的に起こる. ドラッカー氏曰く、次の社会では、知識労働者を中心とした知識社会の時代になる. 知識社会とは非階層の社会であって上司と部下の社会ではない。(p.22) 知識社会では、たとえ組織が潰れようとも、そこで働いていた知識労働者は、自身がもつ専門性ゆえに次の組織へと移動が可能である. その結果、企業のトップマネージメントのあり方も大きく変わる.

以下に、知識労働者についてとトップマネジメントのあり方について、ドラッカー氏の言葉を引用しつつ考察してみる(一部改変).

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まず、ドラッカー氏のいう知識労働者の定義を以下に引用してみる.
知識労働者とは新種の資本家である。なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済における主たる生産手段、すなわち資本だからである。(p.21) 知識労働者の特質は、自らを労働者ではなく専門家と見なすことにある。(p.24)
知識労働者には2つのものが不可欠である(p.24)。
・知識労働者としての知識を身につけるための学校教育。
・知識労働者としての知識を最新に保つための継続教育。


知識労働者は、人類学者です、理学療法士です、物理学者です、大工です、といった専門分野を自ら名乗る. 知識労働者にとって大切なのは、自分がもつ専門知識であって、組織ではない. 従って、知識労働者は大企業に就職することが目的ではなく、いかに高度な知識とスキルを身につけ、それを最新の状態に保つことができるかが重要になってくる. その結果、ドラッカー氏は次の社会を以下のように予測している.

知識社会としてのネクスト・ソサエティには3つの特質がある。
1. 知識は資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界もない社会となる。
2. 万人に教育の機会が与えられるがゆえに、上方への移動が自由な社会となる。
3. 万人が生産手段としての知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではないがゆえに、成功と失敗の並存する社会となる。
これら3つの特質のゆえに、ネクスト・ソサエティは、組織にとっても一人ひとりの人間にとっても、高度に競争的な社会となる。


日本では、競争社会を嫌う意見をよく聞く. その根底にあるのは、2:8の法則(パレートの法則)が一人歩きしているためだと思われる. これをつかって"全社員のうち売り上げに貢献しているのは全体の2割の社員であり、残りの8割の社員はただのお荷物である"といったような意味のことを言う. そして、"どうせオレは残りの8割の社員ですよ"とヒネくれて、競争社会なんてイヤな社会だよな、と結論つけている. 確かに高度な競争社会では、勝つのが2割で8割が負けることになるだろう. だからといってヒネくれる必要はない. 逆に言えば、10回勝負すれば2回は勝てるということでもある. この2:8の法則を自分の仕事に当てはめてみれば、たとえ今現在は8割に属しているとしても、やがて何年かしたら2割に属する時がくるかもしれない. 大切なのは、負けを恐れることではなく、勝ちに向かって努力し続けることなのであろう.

次に、ネクスト・ソサエティにおけるトップマネジメントのあり方について、ドラッカーの言葉を引用してみる.
トップマネジメントたるものは、組織の三つの側面をバランスさせなければならない。すなわち、経済機関、人的機関、社会機関としての側面である。(p.54)
トップマネジメントが直面する問題として、次の5つがある。
1. 15年後には、コーポレート・ガバナンスが今日とは大きく違うものになる。
2. 外の世界で起こることを理解しなければならない。
3. いつ命令し、いつパートナーとなるかを知らなければならない。
4. 真剣に取り組まなければならない課題が、知識労働の生産性の向上である。
5. みんながともに生産的に働けるようんすることを考えなければならない。


これらの課題に直面した場合、それを解決するためのヒントが3つある. それらを引用してみる(一部改変).

1. 知識労働者に、強みは何か、何を期待してよいか、そのためにはどのような情報が必要か、を問う。(p.93)
2. いつ、誰から、どのような形で、どういった情報をもたなければならないか、もしくは与えなければならないか。(p.107)
3. 30%の市場シェアがあれば巨人である。しかし、それでも70%は自社のものを買ってくれていない。われわれはその70%について何も知らない。彼らノンカスタマー(非顧客)こそ、来るべき変化を知らせてくれる貴重な情報源である。(p.142)


これからはドラッカー氏のいうように、知識労働者が活躍する時代だとすると、我々が進むべき道として、私が思いつく限り2つの選択肢がある. ひとつが専門知識を身につけた労働者になる道である. 医者、弁護士、会計士、科学者などがそれにあたる. もうひとつは、知識労働者が強みを発揮できるようサポートする道である. 今のところ、秘書や事務がそれにあたる. これからの時代、それぞれが自分の強みを活かし、自分のやるべき仕事を理解し、みんながお互いに協力しあうことで生産性を向上することが大切なのだろう.


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posted by lhflux at 09:42| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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