2009年11月14日

大前研一通信 2009年11月号

レビュープラス様より献本いただきました. 大前研一氏はかなり以前から気になっていた方だったので、今回、彼の雑誌が読める機会を得てすごくうれしいです. どうもありがとうございます.

それはさておき、書評にはいろう.

大前研一氏の名前は、経済学に触れていると、いたるところで耳にする. 私の頭の中にも彼の名前がしっかりと刻みこまれてはいるものの、実は彼のことを詳しく知らないのが現状であった. 彼の名前が私の頭の中に刷り込まれている例をあげてみる. フジテレビで"めざましテレビ"という番組があるが、そこに"Oh!Myニューヨーク"というコーナーがある. このコーナーは"おーまいにゅーよーく"というのだが、これが私にはなぜか"おーまえけんいち"に聞こえてしまう. それくらい、彼の名前が私の頭の中にこびりついているのである.

今回よんだ雑誌は、その大前研一氏が発信する記事をまとめたものである. 冊子の紙質は、新聞よりも上質であるものの大衆雑誌よりは劣る. そのため見た目からは雑誌というよりタウン誌のような印象をうける. しかし、記事の内容は抜群に濃く、大前研一氏の洞察力のすごさに舌を巻く. 見た目よりも中身で勝負する内容である.

内容は大きく分けて2つ. ひとつが民主党政権の経済政策に対する期待と提言、そしてもうひとつがマクロ経済の動向であろう. この雑誌では、これら2つの題目に関連した、大前研一氏がwebや雑誌に投稿した記事を集めて編集されている. 編集者の力量も加わることで、この"大前研一通信"を読むだけで、大前研一氏の優秀さまでもが伝わってくる.

以下に2つの題目の概要と大前研一氏に関する考察を述べてみる.


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まずは、民主党政権の経済政策に対する期待と提言である. 大前研一氏は民主党政権に大きく期待している. 民主党の基本政策をよく理解したうえで、今後の日本の経済成長に必要な政策について、彼の洞察とアイデアの提唱を行っている. ここの項目を理解するポイントは3つ. 中央集権よりも地方分権、高速道路無料化、そして湾岸100万都市構想である. 私の見解としても、自民党がこれまで行ってきた国が何でもやるという中央集権はもう役目を終え、これからは地方自治がポイントになってくると思っている. そのためにも地方分権(正確には地方自治らしい)と高速道路無料化はセットで考える必要がある. やり方はいろいろあるものの、なによりも重要なことは、大前研一氏の言葉を使うと 重要なのは、経済的自立のない自治などありえないということである. つまり地方は国に頼ることなく自分たちの力で財源をしっかり確保し、地方の長期的な活性化のためにしっかり投資を行うことである. 高速道路が無料化すれば物流が栄えることで、頭を使えば地方の経済的自立に役立つはずである. そして経済的自立の重要性は、なにも地方に限らず個人や企業にも当てはまる、と最近経済学を学んでつくづく思う. 最後の"湾岸100万都市構想"はなかなか面白いアイデアであるものの、実現させるには多大なる時間と労力が必要だと思われ、現段階ではひとつのアイデアとして受け止める程度でいいのかもしれない.

次にマクロ経済の動向についてである. 近年の世界情勢は、ITの進歩もあって国と国の垣根を越えたまさにグローバリゼーションの時代である. 多額なマネーが簡単に国境を越え、一国の経済に多大な影響力を持つ時代となってしまった. こんなこともあり、私にとってマクロ経済はちょっと難しすぎて嫌煙していた. しかし、大前研一氏の記事を読んでいると、マクロ経済の楽しさが伝わってくる. そんな現在のマクロ経済の動向を抑えるポイントは、中国とアメリカ、そしてEUである. これまではアメリカが一人で経済を引っ張っていた. しかし近年は中国の発展がすごい. 日本は中国に対してまだ自分達の方が上だというオゴリを感じるが、大前氏の記事を読むと、ついに眠れる獅子(中国)が目を覚ましはじめたという印象をうける. これからの世界経済は、この中国とアメリカの2台巨頭が牽引することになると彼は予想する. この2台巨頭にたいしてEUがどこまで存在感を発揮できるかが、今後を見極める鍵となる. もしこのあとEU大統領に適任者が就任し、EUが国家として成り立つならば、アメリカや中国を凌ぐ世界最強国家の誕生となる. しかし、ここでEUがしくじって単なるヨーロッパ連合として終わってしまうと、EUの存在感は薄れてしまう. このような世界的な流れに対して、日本は今後どのような立ち位置を形成するかをしっかりと見極める必要がある.

最後に大前研一氏について考察してみたい. 今回はじめて"大前研一通信"を読んで、改めて彼の優秀さが浮き彫りとなった. その理由は、覚悟にある. 先日、日本の長である鳩山首相が温室効果ガスの25%削減目標を掲げた. 私が思うに、これに対してどう反応するかが優秀な人とそうでない人との分かれ目であると思った. 優秀でない人は、いかにその目標が実現困難であるかを説明することに必死に頭を使う. 一方で大前研一氏は覚悟を決めている. この削減目標は、国民が選挙で選んだ民主党の党首が決めたこと、すなわち国家が決めた数値である. 当然、そう簡単に達成できる目標でないことは分かっている. しかし、ごちゃごちゃ言う前に、どうしたらその目標をクリアできるかそのことに頭を使うべきだ、大前氏はそう訴えている. おっしゃる通りである. 何事にも、できない理由を考えるよりも、どうすればそれが実現できるかを考えるべきである. 私は保守的というよりはリベラル的な考え方をする方なので、彼の考え方に深く賛同する.

大前氏はカリスマ性があり、かつ、鋭い洞察力をもっている. 論理も明快で信念もしっかりとしている. ただ注意しないと、そのカリスマ性によって彼の意見がすべて正しいという勘違いを起こし、うっかりすると洗脳されてしまう、そんな危険性をはらんでいる. 今回の雑誌を読んで私も彼の魅力にとりつかれた一人であるものの、すべての内容を鵜呑みにしないよう気をつけたい. 例えば、今回の記事で 日本は800兆円の国債を発行しているが、それを買っているのは大半が日本人で、世界中に米国債を売りつけているアメリカとは状況が違う といっている箇所がある. 一見すると正しいようにも聞こえるものの、現在のグローバル化を考えると、本当にそうかどうか判断できない. また、"大半の日本人"というところの大半がいったい何割程度であるかによっても判断が変わってくると思う. 自分の頭で考える癖をつけながら、大前氏の発言をフォローしていきたい.

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posted by lhflux at 15:56| Comment(0) | TrackBack(1) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: R+様より献本いただきました. これまで献本していただいた大前研一氏関係の書物は、大前研一通信2009年11月号とパスファインダーに続き、3作目となります. いつもどうもありがとうございます. ま..
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