2009年11月03日

はじめての経済学 下巻 伊藤元重

総得点 (15点満点) : 12 点

内訳
文章 (1-5) : 4 点, 内容 (1-5) : 4 点, 感動 (1-5) : 4 点

上巻では、主に経済学の基礎であるマクロ経済とミクロ経済の視点を紹介していた. 下巻は経済学の応用編として、ミクロ的な視点を交えつつ、主にマクロ経済を中心に紹介している. 内容は大きくわけて4つの項目で、公共部門、金融システム、人と組織、国際経済である. これら各章ごとの話題は独立しており、どの章から読んでもよい構成になっている. ただし応用編というだけあって、内容もすんなり理解できるほど簡単ではない. 本書は上記4項目を理解するというよりは、この先、どの項目を詳しく学ぼうかという道しるべとしての役割の方が強いように感じた.

以下にこの本で扱っている4項目について、もうすこし詳しくみてみる.

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
人気ブログランキングへ
blogram投票ボタン
1つ目の項目は公共部門である.公共部門には、基本的に3つの機能があると考えられている. それらは、
a.所得分配を公平化する機能
b.資源分配において民間経済を補完する機能
c.マクロ経済の調整という機能
である. これらを理解するには、税金の役割、公共財や公共事業の役割について知る必要がある. 国は税金や公共財を管理して国民の不公平を是正し、公共事業を通して不景気には経済の活性化を促す. ただし、国がどこまでこれらに関与する方がよいかはよく分からない. 日本とアメリカを比べた場合も、日本国民は国の積極関与を歓迎する傾向が強く、アメリカ国民は国の関与を極力減らし、個人の自由を尊重する傾向にあるように思う.

2つ目の項目は金融システムである. この項目はほかの項目と比較すると理解しやすい部類に入る. ここを理解するポイントは、貨幣の役割と市場の形成についてである. 貨幣にはいくつかの側面がある. ひとつはモノの価値を判断する尺度である. この場合、貨幣自体には価値がない. 価値はないものの、政府の信用力によって貨幣としての価値が生まれる. そうなると、貨幣を媒体としたモノの売買ができる. さらには売買を行うための場所を提供することで市場が形成され、そこの市場で人気のあるものが"価値が高い"と判断される. 銀行や證券会社が果たす金融システムとしての役割は、非常に乱暴に言ってしまえば、貨幣を提供したり、市場を提供することで経済に貢献することである.

3つ目の項目は人と組織の経済学である. もう少しかみ砕くと日本企業についての話になる. 日本のいわゆるサラリーマンというのは、自分の労働力を企業に売って、その見返りに給料をもらう. この給料のもらい方にはいくつかの方法があるが、これまでの日本企業によく見られた方法は終身雇用という人質制度によってなりたっていた. これは、若い時には安い給料以上にたくさん働くことで、その分、年をとったらあまり働かなくても高い給料をもらえるという特徴を持つ. つまり、若いときに過剰に働いた労働力は、未払いの給料として企業に人質として預け、将来それを回収することになる. 高度経済成長期はこれで十分よかったが、経済成熟期となってしまった今の日本では、終身雇用のあり方についてもう一度、よく考える必要があるのかもしれない.

最後の項目は国際経済である. 日本経済だけでもよくワカラナイのに、外国とのことまで考えないといけないので、国際経済が難しいのは明白である. はなから理解することを投げ出したいところではあるが、本書では日本を視点に貿易と為替を通して海外をみるので、なんとかそれなりに理解できる部分はいくつかある、ような気がした. ただ、それでもよく分からなかったのが経常収支と政府債務の関係である. 今の日本は経常収支が黒字であるものの政府債務はどんどん膨らんでいる. 経常収支が黒字だとよい気がするが、どうもそうともいえないらしい. 政府の債務が膨らんでいるのはものすごく危険な気がするが、それもよく分からない. まあ、ワカラナイ部分というのは今後の課題ということで、今は深く追求しないことにしよう.

なお、本書の書評を短くまとめた内容をみんビズ!でも掲載されています. 上巻下巻です. よかったらそちらもどうぞ.


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
人気ブログランキングへ
blogram投票ボタン
posted by lhflux at 09:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。