2009年07月31日

Physics of the impossible: Part II & III (Michio Kaku)

7月下旬に海外出張でカナダに行ってきたので、久しぶりの更新となってしまった. この出張に備えて英語に慣れる必要があったので、以前に途中まで読んだ Physics of the Impossibleの続きを読んでみた.

前回までの Part I では、今後100年くらいで実現可能なテクノロジーについて述べていた. 今回紹介するPart II および III では、今後100年では実現できないであろうテクノロジー、もしくは現在の物理学の枠組みでは不可能なテクノロジーについてである. 以下にPart II および III で紹介されていたテクノロジーについて簡単にまとめてみた.


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11. Faster than light (光速よりも速く):
光よりも速く移動するには、2つの方法がある. ひとつが"空間の広がりを利用する方法"であり、もうひとつが"ワームホール(時空のゆがみ)を利用する方法"である. ワームホールを利用するというのは、簡単にいうと近道を使うことに相当する. 通常の経路ではなく、ワームホールでつながれた入り口と出口を使えば、通常よりも短い経路で目的地に到達できる. 私の理解によれば、このワームホールの入り口と出口はブラックホールで形成されていて、今後、ブラックホールの理解が進むと、ワームホールを用いた宇宙旅行が可能かどうかがわかるのだそうだ. なんともロマンあふれる話である.

12. Time travel (タイムトラベル):
もし光速よりも速く移動できれば、過去に戻るといったタイムトラベルが理論的には可能となる. ここでは話をさらに一歩すすめて、もし過去に戻った場合、その後の未来がどうなるかについて考察している. 例えば、過去に戻って自分の両親を殺したら、はたして過去に戻った自分はどうなってしまうのか、というパラドックスを考えてみるのである.

この本によれば、過去へ戻った場合に次の3つの可能性が考えられている.

a).本人に意志はなく、ただ同じ過去を繰り返すだけ. 映画ハリーポッターで、ダンブリドアの記憶を覗く場面があるが、それと一緒でタイムトラベルをした人は過去をただ傍観するだけになる.

b).本人に意志はあるが、未知の力によって、自分の両親を殺すといった矛盾を引き起こすことができなくなる. 例えば、天井を歩きたくても歩けないように、両親を殺したくても殺せないという未知の法則が働く.

c).2つの世界が存在する. つまり、両親を殺した未来と殺さなかった未来が存在する. 漫画ドラゴンボールでは、ベジータとブルマの息子であるトランクスが、現在の最悪な状況を変えるべく、悟空のいる時代にタイムトラベルするというくだりがある. トランクスはなんやかんやで元凶を除去することに成功し、自分のもといた未来に戻っていくのだが、結局もとの世界は以前と全く変わらず悪いままであるという話であった. これとよく似ている.

13. Parallel universes (平行宇宙):
上で述べた(c)の状況は、多数の宇宙が存在するという平行宇宙の考え方である. マルチユニバースとも関係するらしい.もし平行宇宙が存在するならば、自然法則を支配する方程式は10次元(もしくは11次元)となるらしい. これが正しいとするなら、宇宙でよく分かっていない物質であるダークマターは、実はマルチユニバースの重力を表しているかもしれないと書いてあった. このあたりの記述は、前作のパラレルワールドからさらに進んだ話のように思われる.

14. Perpetual motion machines (永久機関):
現在の物理法則では、永久機関は存在しない. 今まで考えだされてきた永久機関のアイデアは、どれも熱力学の第1と第2法則を満たしていないために失敗に終わっている. ここまではよく聞く話である.

私が驚いたのは、真空がエネルギー(ダークエネルギー)をもっているかもしれないという話である. 言われてみれば、真空のエネルギーがゼロであるという話は聞いたことないし、そんな方程式も知らない. 真空のエネルギーがゼロでないとすると、永久機関が可能となるかもしれないようだ.問題はエネルギーの大きさで、あまりに小さなエネルギーだとあまり使えない. 現在の科学では、ダークエネルギーがどれくらいの大きさをもっているかわからないので、今のところ永久機関が存在することを証明できていない.

15. precognition (予知):
これも現在の物理学では不可能なテクノロジーである. しかし、時間が逆向きに進む物質を使えば、予知が可能かもしれないと考察している.その物質は、スタートレックではタキオンと呼ばれている. これだけならただの空想だが、今の量子理論では、そのような物質が存在するかもしれないと聞いてこれまた驚いた. その物質とは、反物質(antimatter)である.

方程式上では、反物質は時間が過去へと進む. そうなると、反物質は、結果が先に起こって、その後に原因がくると思ってしまう. ちょうどビデオの逆巻きをみているように.しかしこの本によれば、反物資は時間が過去へと進んでいっても因果関係は崩れていないらしい. このあたりはよく分からなかった.

以上、読んできて思った感想はやはり科学やテクノロジーの進歩はすばらしいということである. 現在の科学的知見にて、太陽がいつかは超新星爆発を起こし、地球の滅亡する日が遠い将来確実に訪れる、ということが分かっている. つまり我々の文明を維持するためには、いつかは地球から旅立つ日が必ず来るのである. 少なくとも私が生きているうちにそんな日がくるとは思えないけれども、人生の最期はブラックホールにつっこんで未知の世界を垣間見るというのも悪くない気がしてしまう.

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posted by lhflux at 12:14| Comment(0) | TrackBack(1) | サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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